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第四世代

彗編 異星人

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新暦〇〇三八年二月七日



自分の足で立ち、歩くこともできるようになってきた錬慈れんじが、

「うお~! うお~っ!」

と俺の体に掴まってぐいぐいとゆすりながら遊んでいた。最近の彼のお気に入りのようだ。だから好きにさせておく。やめさせなきゃいけない理由もないしな。

その一方で、清良せいらが巣から出てこなくなる。

どうやらいよいよということか。

「今日明日中にも出産するでしょう」

エレクシアがそう告げてくれた。清良せいらの出産については、レックスも関心を持っている。ここまでにも、ドローンなどで収集したアクシーズをはじめとした各種族の妊娠・出産の記録は確認してきてもらってるものの、これほど詳細に見守れるのは貴重な機会ではあるからな。

「地球人の形質も一部備えながらこれほどまでに特異な形の妊娠出産を行うというのは、自然な進化によってはなかなか得られないものだろう、事実上『有り得ない』と言ってもいいくらいにね。

もっとも、それを言い出したらこの宇宙に私達人間がいること自体が有り得ないほどの大変な事態でもあるが」

確かに、恒星間航行技術ハイパードライブを駆使し、いくつもの生物が存在する惑星も発見してきたものの、地球人と同じく文明を築いた異星人の存在は、それを窺わせる痕跡そのものは発見されたりしつつも実際の<人間>と呼べるような存在そのものとは遭遇できていない。

『異星人はいる。しかし、我々地球人が繁栄を謳歌していられるのと時期を同じくしてこの宇宙に存在し得る可能性は、限りなくゼロに近い』

そう言っている専門家もいるそうだ。レックスもかつてはその一人だった。

錬是れんぜが<不定形生物>と仮称している存在については、知的生命体の存在を強く示唆している。他の生物のデータを収集し、あまつさえ自らシミュレーションを行うような生物が自然発生するなどおよそ考えられないからな」

とも彼は口にしている。そして俺もその意見には反証できる材料が見付けられないのもまた事実。ずっと先にここで生きてきて、実際に接触したり観察を続けてきてもだ。ましてやシモーヌやビアンカや久利生くりうやメイガスやシオやレックスという存在の基になるなんて、そんなのが自然に生まれるとか、何をどう考えても不自然極まりない気しかしない。

そして、きょうみずちがく夷嶽いがく牙斬がざんといった存在に見られた、人間に対する異様なまでの攻撃性。

これまた、人間という種そのものに並々ならぬ恨みを持ってるものの存在をも示唆してるんだし、まったくの偶然の産物として考えるのは無理があるよな。

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