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第四世代

彗編 アトロポス

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新暦〇〇三八年一月二十八日



そろそろ、清良せいらの方もいつ出産が始まってもおかしくない時期に突入しただろう。が、今のところは普通に狩りにも出ているし、まだかかるだろうか。

それと同時に、すいとフォルトナの様子も、本当に毎日毎日普通に淡々としたものだ。

思えば、しょうの晩年もアクシーズとしては平穏そのものだったな。対してめいは一波乱あったりして盛り上がったようにも思えるが、むしろ俺としては穏やかに終えてもらえたらと思う。

別に誰かを喜ばせるために、エンターテイメントとして消費されるために、彼女達の生涯はあったわけじゃない。たまたまめいの時は騒動があったってだけなんだよ。

加えて、彼女達のことは親である俺と家族が覚えていればそれでいいはずなんだ。野生ならそれこそ我が子にさえ覚えててもらえるかどうかすら怪しいんだからな。

だから清良せいらすいも、この調子でこれといった盛り上がりもなく静かに過ぎていってほしいと、親としては思う。

そのためにも諸々体制を強化していこう。

なお、水帆みなほについても、順調だ。確かに実の母親から母乳をもらえなかった影響はあるかもしれないが、そもそも普通にクロコディアとして生きられるわけじゃないし、そこまで気にしなくていいんじゃないか。

地球人社会では<母乳神話>なるものも長くあったらしいものの、もちろん、母乳自体には意味もあるものの、だからといってそれがなければ駄目かと言われれば必ずしもそうでないことも分かってる。他の形で補うことはできるんだよ。

そんな水帆みなほは、未来みらいと同じく水の中にいる方が落ち着くようだ。それもあって水泳部仕様のホビットMk-Ⅱも新たに派遣してもらった。機体が水泳部仕様である以外は一般仕様のホビットMk-Ⅱと基本的には同じものだ。そうして水帆みなほを、ちからはるかが眠る池に入った状態であやしてくれている。

水帆みなほの方も、ホビットMk-Ⅱをちゃんと親のように認識してくれたのか、安心した様子だ。

この点でも、水泳部仕様のホビットMk-Ⅱを派遣してもらったのは正解だった。俺やシモーヌじゃここまで水中で面倒を見ることもできないしな。

あと、<クロコディアの子供>ということで、

「そういうことなら喜んで協力するよ」

メイガスも母乳を分けてくれた。

と言うのも、息子のラケシスに続いて娘<アトロポス>がちょうど生まれたところで母乳が出ていたんだ。それを分けてもらえることになった。搾乳したものをイレーネによって回収。水帆みなほに与える。

こういう点でも水帆みなほは運がよかったのかもしれないな。

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