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第四世代

彗編 水帆

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新暦〇〇三八年一月十六日



赤ん坊は念のため、半日ばかり治療カプセルに入ってもらった。それによって体の状態も調べたが、

「健康そのものですね。大きな異常は見られません」

エレクシアがそう告げてくれた。ただ、

「あくまで『今の時点では』という注釈付きですが。さらに詳細な検査をしてみなければ完全には把握できません」

とも。だから、

「ああ、分かってる。もし何かあってもそれは覚悟の上だ」

俺も改めて表明させてもらった。

そしてこれは同時に、

<ここに配備されたホビットMk-Ⅱによる育児>

を検証する絶好の機会でもある。

別に実験動物にするつもりはない。エレクシアとイレーネとセシリアにフォローしてもらいつつ、そして俺やシモーヌやひかりも関わりつつ、この集落全体で育てていくんだ。

そのためのテストケースにもなると思う。

もっとも、それについてはビクキアテグ村が前例になっていると言えるだろう。誰か一人が子供を育てるんじゃなくて、村全体で育てるんだ。そういう集落としてすでに機能してる。

だからケインもイザベラも問題なく育ってる。寝床以外は村の外中心に活動しているキャサリンについても、ちゃんと<仲間>だと認識してくれている。そのおかげでキャサリンが皆に牙を剝かずに済んでるというのも間違いなくある。

そうじゃなきゃ、ヒト蜘蛛アラクネと同じように、

『自分以外はすべて敵だ』

という認識が生まれていてもおかしくない。そういうものなんだよ。

こうして家族に加わることになった<先祖返りを起こしたクロコディアの子供>については、

水帆みなほ

と名付けることになった。女の子だ。

便宜上、父親は俺で、母親はシモーヌということになる。そのサポートをホビットMk-Ⅱが行うという体裁だな。

「そういうわけでよろしく頼む」

シモーヌに対しても改めてそう頭を下げるが、

「うん。分かってる分かってる。私だってそのつもりだよ」

錬慈れんじにおっぱいを与えながら彼女は快く承諾してくれた。

なお、一歳を迎えた錬慈れんじは、もうほとんどおっぱいを飲んでいない。一日に一~二度、欲しがるから与えてる程度だ。歯も生えてきてそれが当たってシモーヌとしても少し痛い思いはするものの、飲む時も錬慈れんじがあまり無茶をしないから耐えられてるそうだ。

そして、

「ママ」

とはっきり口にしてくれるのが可愛くて可愛くて、それで許せてしまうとも。

もちろん。俺のことは「パパ」と呼んでくれる。だが、俺としてもシモーヌをちゃんとママと呼んでくれるのが嬉しい。おっぱいの時以外はほとんど俺が一緒にいたからなあ。

水帆みなほがどうなるかは分からないものの、もちろん俺達の子供として育てていくつもりだ。

血の繋がりはなくても錬慈れんじにとっては妹だな。

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