1,939 / 2,381
第四世代
彗編 ダメでもなんでも
しおりを挟む
新暦〇〇三八年一月十五日
今日もまた、かなりの雷雨だった。河への落雷も、観測地点だけでも何度か見られた。
だから当然、<万が一>に備える。
ホビットサンク村の最寄りの河でも落雷があったことで、部隊を向かわせる。同時に、<水泳部仕様のホビットMk-Ⅱ部隊>も併せて急行する。
回転翼機に搭乗した水泳部仕様のホビットMk-Ⅱ五機が到着すると、すでにホビットサンク村から派遣された部隊が警戒に当たっていた。
するとその時、岸からほど近い水中に白い影が。
魚じゃない。魚以外の生き物でもない。
「人間だ!」
タブレット越しにその映像を見ていた光が叫んだ。
「救急対応!」
俺も続けて命じる。
しかし、水泳部仕様のホビットMk-Ⅱ部隊を乗せた回転翼機は少し離れたところで警戒していたため、わずかに時間が掛かってしまう。だから、ホビットサンク村から派遣されたホビットMk-Ⅱは躊躇することなくザブザブと水に入っていった。
そのカメラに映し出された<白い影>は、間違いなく人間、それも赤ん坊だ。しかも、青黒い影が一緒に浮かんでいる。クロコディアだとすぐに察せられた。
『クロコディアの雌が先祖返りを起こした赤ん坊を生んだ時に落雷があり、感電した』
という状況だと推測する。
だがそれを確認するのは後だ。今はとにかく赤ん坊の救出を優先。
もちろん今回も間に合わない可能性は高いが、地球人社会でも、
『間に合わない可能性が高いから患者を放置する』
なんてことは基本的にしないだろう? 何人もの急を要する患者がいて<トリアージ>が必要でもない限りは。
だったら救出するんだよ。ダメでもなんでも。
けれど、<水泳部仕様じゃないホビットMk-Ⅱ>だから、水に入った途端に浸水警報が鳴り、ステータス画面に赤いシグナルが灯る。灯るが、ホビットMk-Ⅱらはそんなことはお構いなしにぐいぐいと進んで、赤ん坊を水中から救い上げた。
まだ母親と臍の緒で繋がったままの赤ん坊だった。が、生まれたちょうどそのタイミングで落雷があり、母親が感電。意識を失ったことで食われずに済んだんだろう。クロコディアの場合はそれこそその場で食ってしまう可能性が高いからな。
で、一機が臍の緒を処置しつつ別の一機が心臓マッサージを始める。そこに回転翼機が到着。搭乗していた水泳部仕様のホビットMk-Ⅱがワイヤーで降下。すぐさま赤ん坊を受け取り、心臓マッサージを行いながら回転翼機の機内へと戻る。
こうなれば後はそれこそ俺達の集落に向けて急ぐだけだ。
その時、
「ケフッ……!」
赤ん坊が声を上げて息を吹き返した。
まずは蘇生成功だ。
今日もまた、かなりの雷雨だった。河への落雷も、観測地点だけでも何度か見られた。
だから当然、<万が一>に備える。
ホビットサンク村の最寄りの河でも落雷があったことで、部隊を向かわせる。同時に、<水泳部仕様のホビットMk-Ⅱ部隊>も併せて急行する。
回転翼機に搭乗した水泳部仕様のホビットMk-Ⅱ五機が到着すると、すでにホビットサンク村から派遣された部隊が警戒に当たっていた。
するとその時、岸からほど近い水中に白い影が。
魚じゃない。魚以外の生き物でもない。
「人間だ!」
タブレット越しにその映像を見ていた光が叫んだ。
「救急対応!」
俺も続けて命じる。
しかし、水泳部仕様のホビットMk-Ⅱ部隊を乗せた回転翼機は少し離れたところで警戒していたため、わずかに時間が掛かってしまう。だから、ホビットサンク村から派遣されたホビットMk-Ⅱは躊躇することなくザブザブと水に入っていった。
そのカメラに映し出された<白い影>は、間違いなく人間、それも赤ん坊だ。しかも、青黒い影が一緒に浮かんでいる。クロコディアだとすぐに察せられた。
『クロコディアの雌が先祖返りを起こした赤ん坊を生んだ時に落雷があり、感電した』
という状況だと推測する。
だがそれを確認するのは後だ。今はとにかく赤ん坊の救出を優先。
もちろん今回も間に合わない可能性は高いが、地球人社会でも、
『間に合わない可能性が高いから患者を放置する』
なんてことは基本的にしないだろう? 何人もの急を要する患者がいて<トリアージ>が必要でもない限りは。
だったら救出するんだよ。ダメでもなんでも。
けれど、<水泳部仕様じゃないホビットMk-Ⅱ>だから、水に入った途端に浸水警報が鳴り、ステータス画面に赤いシグナルが灯る。灯るが、ホビットMk-Ⅱらはそんなことはお構いなしにぐいぐいと進んで、赤ん坊を水中から救い上げた。
まだ母親と臍の緒で繋がったままの赤ん坊だった。が、生まれたちょうどそのタイミングで落雷があり、母親が感電。意識を失ったことで食われずに済んだんだろう。クロコディアの場合はそれこそその場で食ってしまう可能性が高いからな。
で、一機が臍の緒を処置しつつ別の一機が心臓マッサージを始める。そこに回転翼機が到着。搭乗していた水泳部仕様のホビットMk-Ⅱがワイヤーで降下。すぐさま赤ん坊を受け取り、心臓マッサージを行いながら回転翼機の機内へと戻る。
こうなれば後はそれこそ俺達の集落に向けて急ぐだけだ。
その時、
「ケフッ……!」
赤ん坊が声を上げて息を吹き返した。
まずは蘇生成功だ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
162
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる