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第四世代

彗編 命の形

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新暦〇〇三七年十二月十四日



すいがフォルトナを拾ってきて育てて、先祖返りを起こしたパパニアンの赤ん坊は残念ながら生きられず、そしてしょうが自らの命を全うした。

<拾われた命>

<生き延びられなかった命>

<全うされた命>

様々な<命の形>がここにある。そして俺の腕の中には、萌え上がるような力強い命が。

俺の老化抑制処置の効果はあと三十年程度。それが切れればそこからは一気に衰えて、三十年ともたないだろう。地球人社会での医療技術であればそこからも十年二十年は延命もできるが、実はそれを望む者は決して多くないという。健康な状態で二百年も生きると、

『もういいか』

と感じることも多いらしい。俺も、

『さらにそこから百年ばかり生きたいか?』

的に問われると、

『さあ、どうだろう……』

と思ってしまいそうな気はする。正直、かなり濃密な人生だったと我ながら思うんだよな。両親も妹の光莉ひかりも俺よりは随分と先に逝ってしまったし。

さすがに錬慈れんじの生涯を見届けることはできそうにないが、

『もういいよな、光莉ひかり……』

とも思う。

光莉ひかりにそっくりだったひかりは立派に大人になって子供もできて、

光莉ひかりが成長したらこんな感じだったんだろうな』

というのも見せてもらったしな。『思い残すことはない』とは言わないものの、かなり満足はしている。

とは言え、老け込むのはまだ早い。隠居するつもりもまだない。ここに生きることになる者達の礎としてやるべきことは残ってると思う。だからホビットサンク村でのシミュレーションにも力を入れてるんだしな。

<先祖返りを起こしたパパニアンの赤ん坊>を救うために尽力して壊れたホビットMk-Ⅱも回収されて再資源化され、新しいホビットMk-Ⅱとして機能している。

さらに、周囲で同じように先祖返りを起こした子供が生まれた時に備えて、ホビットMk-Ⅱをさらに五機、ホビットサンク村に派遣した。これで現在、三十機が稼働していることになり、常時十機が周辺の哨戒に当たっている状態だ。

もちろんこれで体勢として万全というわけじゃないにせよ、助かる可能性を少しでも上げられるなら意味もあるだろうさ。

ただ、あの赤ん坊を生んだパパニアンの雌については、<あんな子供>を生んでしまったことでボスに敬遠されたらしく、寵愛を受けられなくなってしまったらしい。

赤ん坊もつらかったが、母親もつらい結果になったのかもしれないな。

こちらについてはいずれはまた許される可能性もないわけじゃないんだろうが。

さすがにそのままというのは救いがない気がするし、なんとか許されてほしいもんだ。

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