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第四世代

彗編 朋群人社会における婚姻制度について

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新暦〇〇三七年十月十日



「というわけで、朋群ほうむ人社会においては<婚姻制度>というのは明文化しないようにと思ってるんだが、どうだろう?」

シモーヌとひかりあかりとビアンカと久利生くりうとルコアとシオとレックスとルイーゼとで、タブレットを介して集まり、そこで俺は自分の意見を口にした。

するとまずシモーヌが、

「私も、レックスを愛してるけど今は錬是れんぜのことも愛してるからね。あまりあれこれ言える立場じゃないかな」

苦笑いを浮かべながら述べる。するとひかりは、

「私はそもそも<婚姻制度>というのがピンとこない。アーカイブの中のドラマとかを見てても、同じ人の取り合いで人を殺すとかまでなるのがいまだに理解できないんだ。じゅんを好きだって人がもし他にいても、その人がよっぽどおかしなのじゃなかったら、嬉しくはないけど別に子供とか作ってもいいんじゃないかって思う」

パパニアンとしての意見を。そこにあかりも、

「私はそれこそきたるやビアンカと一緒に久利生くりうのパートナーになったからね。きたるやビアンカだったらぜんぜんOKだったよ」

あっけらかんと発言し、続けてビアンカが、

「私も。正直なところ複雑な気持ちはありましたけど、あかりきたるとだったら大丈夫でした。相手次第ですよね。これがもし、少佐のことを大切にできない人が言い寄ってきたんだったら、許せませんね」

と、黎明れいあを抱いてケビンを背負いつつ言った。

さらに久利生くりうは、

「僕も、反対できる立場にはないかな」

これまた苦笑い。

そこにルコアが、

「私はまだそこまであんまり考えられません。だけど、好きな人が他の人と付き合うとかは、嫌かな……」

控え目ながらも正直な気持ちを吐露してくれる。

確かにここまでの発言の流れ的に見ると明らかに逆らう形のものではあるが、こういう意見もちゃんと出ることが大事だと思う。でもすぐに、

「だけどだけど、ビアンカやあかり久利生くりうみたいな関係は素敵だと思うのもホントだし嫌じゃない。でも自分がそうなれるかっていう自信がない……」

とも付け足した。ああそうだな。あかりとビアンカと久利生くりうを傍で見てての素直な感想なんだろう。

さらにシオは、

「私はもうシモーヌとは別の存在だからね。正直なところ、レックス以外の男性となんて考えられないかな」

と告げて、レックスも、

「私は、行動生物学の専門家としては、確かに地球人社会における婚姻制度の非合理性は常々感じてた。ただ、シオと同じく、彼女以外の相手というのは、私自身の気持ちとしてはピンとこないのも素直な想いなんだ」

とのことだった。

ただ、ルイーゼは、

「よく分からない……」

だとさ。

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