1,899 / 2,650
第四世代
彗編 俺の息子
しおりを挟む
新暦〇〇三七年九月二十二日
だが同時にそうやって、
『人間は野生動物とは違う』
と言うのなら、
<野生で生きる動物が必要としている厳しさ>
みたいなものをそのまま人間に当てはめようとするのは筋違いだよな。だってそうだろう? <野生で生きる動物が必要としている厳しさ>がそのまま人間にも当てはまるなら、
『年老いて自力で生きられなくなった個体は次世代のための糧になる』
ってのも適用しないとおかしいんじゃないか? それが嫌だってんなら、<野生で生きる動物が必要としている厳しさ>なんてものをそのまま当てはめるようなことはしちゃいけないだろうさ。
だが同時に、少なくとも、
『事前に子供本人に対し、生むことについて承諾を取った事実はない』
というのは、野生の厳しさ云々とは関係なしに事実だからな。ゆえに、
『子供を養育するのは親自身の行いについての<尻拭い>である』
という事実も覆らないだろうさ。俺自身は親としてそれを覆すつもりはない。その現実を認められる親でいたいしな。
だから光に対しても灯に対しても錬慈に対しても、<育ててやった恩>を売るつもりは毛頭ない。
そしてそれは、彗も同じだと思う。そもそも彗はファルケの養育には関われていないから恩の売りようもないが。
なのに地球人にはいたんだよなあ。
『俺のおかげで生まれられたんだから感謝しろ』
だとか、自分は一切育児には関わってないのに、養育さえしてないのに、そういうことを口にする奴が。
いったい、どんな思考回路を持ってたらそんな考え方ができるのか、まったく理解できない。野生の獣はそもそもそうやって恩を売ったりしないんだから、野生の獣でさえしないことをしてるわけで。
恥ずかしいとは思わないのか? あれって何なんだろうな。
これも一種の<承認欲求>なんだろうか?
『自分のおかげで』
と相手に思わせることで自分の存在を確立させたいという感じか?
どっちにしてもあさましいだけだな。子供の方が自ら感謝してくれるならそれはそれで自由なんだとしても、親の側が要求することじゃないだろ。
情けない。
などという諸々も『まるでどこ吹く風』といった様子で、彗は平然と淡々としていた。
でも、やっぱり彼は『変わってる』んだろうな。なにしろ<俺の息子>だしなあ。姉の翔も若干変わり者だというのはありつつもあくまでアクシーズとしての範疇に収まっている印象はあるものの、彗は違っていたんだ。
なにしろ、彗の<仮の巣>に、本来あるはずのないものがいたんだからな。
「え……? 子供……?」
だが同時にそうやって、
『人間は野生動物とは違う』
と言うのなら、
<野生で生きる動物が必要としている厳しさ>
みたいなものをそのまま人間に当てはめようとするのは筋違いだよな。だってそうだろう? <野生で生きる動物が必要としている厳しさ>がそのまま人間にも当てはまるなら、
『年老いて自力で生きられなくなった個体は次世代のための糧になる』
ってのも適用しないとおかしいんじゃないか? それが嫌だってんなら、<野生で生きる動物が必要としている厳しさ>なんてものをそのまま当てはめるようなことはしちゃいけないだろうさ。
だが同時に、少なくとも、
『事前に子供本人に対し、生むことについて承諾を取った事実はない』
というのは、野生の厳しさ云々とは関係なしに事実だからな。ゆえに、
『子供を養育するのは親自身の行いについての<尻拭い>である』
という事実も覆らないだろうさ。俺自身は親としてそれを覆すつもりはない。その現実を認められる親でいたいしな。
だから光に対しても灯に対しても錬慈に対しても、<育ててやった恩>を売るつもりは毛頭ない。
そしてそれは、彗も同じだと思う。そもそも彗はファルケの養育には関われていないから恩の売りようもないが。
なのに地球人にはいたんだよなあ。
『俺のおかげで生まれられたんだから感謝しろ』
だとか、自分は一切育児には関わってないのに、養育さえしてないのに、そういうことを口にする奴が。
いったい、どんな思考回路を持ってたらそんな考え方ができるのか、まったく理解できない。野生の獣はそもそもそうやって恩を売ったりしないんだから、野生の獣でさえしないことをしてるわけで。
恥ずかしいとは思わないのか? あれって何なんだろうな。
これも一種の<承認欲求>なんだろうか?
『自分のおかげで』
と相手に思わせることで自分の存在を確立させたいという感じか?
どっちにしてもあさましいだけだな。子供の方が自ら感謝してくれるならそれはそれで自由なんだとしても、親の側が要求することじゃないだろ。
情けない。
などという諸々も『まるでどこ吹く風』といった様子で、彗は平然と淡々としていた。
でも、やっぱり彼は『変わってる』んだろうな。なにしろ<俺の息子>だしなあ。姉の翔も若干変わり者だというのはありつつもあくまでアクシーズとしての範疇に収まっている印象はあるものの、彗は違っていたんだ。
なにしろ、彗の<仮の巣>に、本来あるはずのないものがいたんだからな。
「え……? 子供……?」
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる