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第四世代

彗編 十中八九間違いない

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新暦〇〇三七年九月十九日



こうしてキャサリンについては、

『住居こそはビクキアテグ村にありつつ、生活そのものは自立している』

状態で落ち着いたようだ。ビアンカも、彼女が完全に出ていってしまったわけじゃないことについてはホッとしている。いずれは帰ってこなくなる可能性もありつつも、まあしばらくはこの状態が続きそうだな。

その一方で、ファルケとスフィアについては、二人で仲良く穏やかに過ごしてくれてる。繁殖行動に移るにはお互いまだ早いこともあって、実に初々しい様子ではある。互いの体を舐め合って毛繕いとかをしてるだけだ。

対して、ファルケの親であるすい清良せいらは、毛繕いも実に艶めかしい。明らかに<愛撫>として行ってるのが分かる。で、お互いに高まってくると睦み合う感じか。

ずっと見てるわけじゃないが、ちらりと見える範囲でもそれだからなあ。

と思ってたら、なんだか清良せいらの様子が。

また不機嫌になってきたんだ。で、

「ギャーッッ!!」

すいに向かって歯を剥き出して、威嚇する。

「これはやはり」

タブレット越しに様子を見ていたレックスが呟くと、

「はい、妊娠の兆候ですね」

これまでずっと記録を続けてくれていたエレクシアがそう告げる。過去のデータと照合しても十中八九間違いないだろうな。

「実に興味深い」

生物学の専門家であるレックスが、

「私も引き続き観察させてもらっていいだろうか?」

と訊いてきた。別に断る理由もないし、ちゃんと専門家にも把握してもいてもらった方がありがたいと考え、

「ああ、もちろん」

二つ返事で応じた。ここまでもある程度は観察してもらってる。さすがに地球人に近い姿をしていることもあって彼も最初は気まずさもないわけじゃなかったらしいが、元々、人間の生殖についても研究の対象の一つだったそうで、あくまで専門家の視点で見てくれてるのが俺にも分かる。だから安心して任せられるんだ。

こうして、すい清良せいらの第二子を迎える流れになった。

でもなあ、そうなるとまたすいは巣に戻れなくなるんだよ。で、ファルケが巣立つまでの間に使っていた仮の巣があったところにまた行って、しばらく放置していたことで傷んでいたそれを直し始めた。

地球人の感覚からするとなんとも切ない気分にもさせられる光景ではありつつ、アクシーズにとってはこれが<普通>だからな。それに、しょうの息子のりょうなんかは、さっさと他の雌のところに行ってそっちでも子作りを励んでいたし、本来ならすいもそうすればいいはずなんだよなあ。

なのにすいはそうしないんだ。だから余計に切ない感じになるんだろう。

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