1,884 / 2,665
第四世代
彗編 ドウ
しおりを挟む
『ドウ。あれ』
とキャサリンが口にして指差した先には、インパラ竜の群れ。その上で、
「うまそ……」
とも口にする。彼女にはもう、インパラ竜が、
<美味そうな獲物>
に見えるんだろう。そして、草に身を隠しつつ接近。それがまた様になっていて、レオンやオオカミ竜の成体と何ら変わらない印象がある。そう、立派に捕食者の貫禄があるんだ。
そんな彼女を、ビアンカが見守る。今回もグレイとドーベルマンMPM二機を随伴して。しかもビアンカは<スナイパーライフル>を装備していた。グレイを支えにしてスコープを覗く。万が一の際にはキャサリンを守るために狙撃も辞さないということで。
ビアンカ自身は必ずしも<狙撃手>ではないものの、狙撃を得意とするわけではないものの、必要とあらば狙撃を行える程度には訓練も積んでいたそうだ。もっとも、実戦でそれが役に立ったことはほとんどなかったそうだが。
実際、長距離狙撃も、ごく一部の<異能レベルの狙撃手>によるそれを除き、ロボットが行っていたそうだし。そりゃそうか。完全に気配を殺し、何時間も動くことなく、しかし一瞬のチャンスを見逃さずに確実に狙撃を行うなんてのは、それこそロボットが得意とする分野だろう。しかも、人間と違ってスポッター役も同時にこなすこともできる。そういう機能を与えることもできる。それこそ他のロボットと連携すればさらに精度は高まるわけで。
こうなると並の狙撃手はお払い箱だろうなあ。が、いかなる状況にも対応できるようにしなきゃならないから訓練だけは欠かせないということだ。
まさかビアンカもこんな形でその経験を活かすことになるとは思わなかっただろうが、同時に、母親として我が子を守るためなら自分にできるあらゆることをする覚悟も持っている。
ただ、わざわざこうやってキャサリンからは見えない距離を保ちつつ守ろうとしてるのは、彼女の自立心を妨げたくないという気持ちもあってのことだ。<我が子を案じる親心>と、<我が子の成長を信じたい親心>を高度に両立させている姿とでも言うか。
俺も、ドローンなどを使って離れたところから見守ってたりするから、気持ちは想像できるってもんだな。
なのに、そんなビアンカの気持ちとは裏腹に、キャサリンは実に的確に獲物との距離を詰めていく。その姿については、ドーベルマンMPM十六号機のカメラを通して確認できていた。
そして、わずか十メートルくらいの距離まで近寄ってみせる。二歳でそこまでできるキャサリンもすごいが、十六号機も同じくインパラ竜に気付かれずに近付けてるわけで、地味にすごいな。
とキャサリンが口にして指差した先には、インパラ竜の群れ。その上で、
「うまそ……」
とも口にする。彼女にはもう、インパラ竜が、
<美味そうな獲物>
に見えるんだろう。そして、草に身を隠しつつ接近。それがまた様になっていて、レオンやオオカミ竜の成体と何ら変わらない印象がある。そう、立派に捕食者の貫禄があるんだ。
そんな彼女を、ビアンカが見守る。今回もグレイとドーベルマンMPM二機を随伴して。しかもビアンカは<スナイパーライフル>を装備していた。グレイを支えにしてスコープを覗く。万が一の際にはキャサリンを守るために狙撃も辞さないということで。
ビアンカ自身は必ずしも<狙撃手>ではないものの、狙撃を得意とするわけではないものの、必要とあらば狙撃を行える程度には訓練も積んでいたそうだ。もっとも、実戦でそれが役に立ったことはほとんどなかったそうだが。
実際、長距離狙撃も、ごく一部の<異能レベルの狙撃手>によるそれを除き、ロボットが行っていたそうだし。そりゃそうか。完全に気配を殺し、何時間も動くことなく、しかし一瞬のチャンスを見逃さずに確実に狙撃を行うなんてのは、それこそロボットが得意とする分野だろう。しかも、人間と違ってスポッター役も同時にこなすこともできる。そういう機能を与えることもできる。それこそ他のロボットと連携すればさらに精度は高まるわけで。
こうなると並の狙撃手はお払い箱だろうなあ。が、いかなる状況にも対応できるようにしなきゃならないから訓練だけは欠かせないということだ。
まさかビアンカもこんな形でその経験を活かすことになるとは思わなかっただろうが、同時に、母親として我が子を守るためなら自分にできるあらゆることをする覚悟も持っている。
ただ、わざわざこうやってキャサリンからは見えない距離を保ちつつ守ろうとしてるのは、彼女の自立心を妨げたくないという気持ちもあってのことだ。<我が子を案じる親心>と、<我が子の成長を信じたい親心>を高度に両立させている姿とでも言うか。
俺も、ドローンなどを使って離れたところから見守ってたりするから、気持ちは想像できるってもんだな。
なのに、そんなビアンカの気持ちとは裏腹に、キャサリンは実に的確に獲物との距離を詰めていく。その姿については、ドーベルマンMPM十六号機のカメラを通して確認できていた。
そして、わずか十メートルくらいの距離まで近寄ってみせる。二歳でそこまでできるキャサリンもすごいが、十六号機も同じくインパラ竜に気付かれずに近付けてるわけで、地味にすごいな。
0
お気に入りに追加
196
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!


なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる