1,883 / 2,656
第四世代
彗編 すべてに当てはまる決定的なもの
しおりを挟む
新暦〇〇三七年八月七日
いやはや本当に<子育て>には、<明確な答>というものがない。
ある程度の<指標>的なものはあるものの、
『結局は子供だって人間なんだから人間として接すればいいだけ』
という基礎部分はあるものの、それもあくまで<基礎部分>ってだけだからな。その上で子供も人間である以上はそれぞれ<独立した人格>があり、<個体差>がある。すべてに当てはまる決定的なものはないんだと、何人もの子供達を見守ってきたがゆえに実感がある。
キャサリンにしてもそうなんだというのは分かる。
姉妹でありキャサリンと性格は似ていそうなイザベラは、別に<脱走癖>なんてものはない。それどころか、未来のことが好きらしくて彼の姿が見えるところでいようとする傾向はある。その上で、彼となかなか激しいレクリエーションを行ってたりする。事情を知らない者が見たら<ガチの兄妹喧嘩>だと感じてしまう程度にはエキサイティングなそれだ。
でも、確実に手加減はしてるんだよ。お互いに。地球人の感覚からすれば『やり過ぎだろ』と思うだけで。
しかし二人はちゃんと仲がいい。未来はイザベラを認めてくれてるのが分かる。いい関係なんだ。
だが、イザベラとキャサリンは、確かに決定的に異なった振る舞いをしている。
どちらに対しても同じように対処できるはずがないのが、ここからも分かる。イザベラはイザベラだし、キャサリンはキャサリンなんだ。
これ自体が紛れもない事実なんだよ。
同じ母親から生まれた血の繋がった姉妹でさえこれなんだ。まったく関係のない赤の他人の子供が自分の子供と同じであると考える方がどうかしてるさ。
とは思うんだが、分かってるんだが、キャサリンはキャサリンとして見なきゃいけないと理解はしてるんだが、
「心配なのは心配なんです」
ビアンカが口にするのも共感できてしまう。
いやはや、難しいな。
なのに、当のキャサリンの方は、そんな母親の想いを知ってか知らずか、さらに遠くまで足を伸ばしていた。狩りをしつつ。
狩りをして、自ら餌を確保してそれを食い、周囲の様子を窺って自らの安全を確保し、油断はせずに体を休める。
うん、普通に野生の生き物の振る舞いとして成立してるな。
しかし同時に、
「うあ、ドウ。あれ」
傍らに控える十六号機に話し掛けたりもする。『ドウ』というのは、キャサリンが十六号機を呼ぶ時のそれだ。『ドーベルマン』とまではさすがにまだ上手く言えないみたいだからな。
でもまあ、それ自体がもう<個体名>でもいい気がするな。
いやはや本当に<子育て>には、<明確な答>というものがない。
ある程度の<指標>的なものはあるものの、
『結局は子供だって人間なんだから人間として接すればいいだけ』
という基礎部分はあるものの、それもあくまで<基礎部分>ってだけだからな。その上で子供も人間である以上はそれぞれ<独立した人格>があり、<個体差>がある。すべてに当てはまる決定的なものはないんだと、何人もの子供達を見守ってきたがゆえに実感がある。
キャサリンにしてもそうなんだというのは分かる。
姉妹でありキャサリンと性格は似ていそうなイザベラは、別に<脱走癖>なんてものはない。それどころか、未来のことが好きらしくて彼の姿が見えるところでいようとする傾向はある。その上で、彼となかなか激しいレクリエーションを行ってたりする。事情を知らない者が見たら<ガチの兄妹喧嘩>だと感じてしまう程度にはエキサイティングなそれだ。
でも、確実に手加減はしてるんだよ。お互いに。地球人の感覚からすれば『やり過ぎだろ』と思うだけで。
しかし二人はちゃんと仲がいい。未来はイザベラを認めてくれてるのが分かる。いい関係なんだ。
だが、イザベラとキャサリンは、確かに決定的に異なった振る舞いをしている。
どちらに対しても同じように対処できるはずがないのが、ここからも分かる。イザベラはイザベラだし、キャサリンはキャサリンなんだ。
これ自体が紛れもない事実なんだよ。
同じ母親から生まれた血の繋がった姉妹でさえこれなんだ。まったく関係のない赤の他人の子供が自分の子供と同じであると考える方がどうかしてるさ。
とは思うんだが、分かってるんだが、キャサリンはキャサリンとして見なきゃいけないと理解はしてるんだが、
「心配なのは心配なんです」
ビアンカが口にするのも共感できてしまう。
いやはや、難しいな。
なのに、当のキャサリンの方は、そんな母親の想いを知ってか知らずか、さらに遠くまで足を伸ばしていた。狩りをしつつ。
狩りをして、自ら餌を確保してそれを食い、周囲の様子を窺って自らの安全を確保し、油断はせずに体を休める。
うん、普通に野生の生き物の振る舞いとして成立してるな。
しかし同時に、
「うあ、ドウ。あれ」
傍らに控える十六号機に話し掛けたりもする。『ドウ』というのは、キャサリンが十六号機を呼ぶ時のそれだ。『ドーベルマン』とまではさすがにまだ上手く言えないみたいだからな。
でもまあ、それ自体がもう<個体名>でもいい気がするな。
0
お気に入りに追加
196
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。


前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる