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第四世代
彗編 骨の髄まで思い知らされた
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ただ、生涯未婚を貫く者も少なくないとはいえ、実は、
『生涯で一人も子供を持たなかった』
という話になると割合はずっと減るそうだ。
『結婚はしないが子供はいる』
とか、
『結婚はしてないが、認知もしてないが、子供を生ませたことがある』
事例も実は少なくないとも。
この辺りも、眉を顰める人間がいるのは事実でも、未婚で子供を生んでもサポートは確実に受けられるし、
『むしろ当てにできないパートナーがいるよりもメイトギア辺りにサポートしてもらって子供を育てた方がずっと気が楽』
と考える女性も結構いるそうだ。
加えて、健康寿命が二百年。出産適齢期は百数十年あるということで、ほとんどの惑星で出生率はプラスを維持してるとも聞く。
<人口爆発>と言われるほどじゃないにせよ、地球人類の総数は確実に増えていってるそうだ。
ただ同時に、
『宇宙そのものを食いつくす勢い』
かと言われれば、うん、まったくそんなこともないとも。だから生涯未婚も悪くないんだよ。子供を作らなくても、老化抑制処置の効果が切れて体が不自由になっていって介護が必要になってもロボットが面倒を見てくれるし、子供に頼る必要がまったくない。
『老後の面倒を見させるために子供を作る』
なんて不自然なことをする必要がなくなったんだ。そういう意味ではむしろ自然に近付いたとも言えるかもな。野生の生き物で、『自分の子供に老後の面倒を見させる』なんてことをする者はほとんどいないわけで。
人間が、地球人が、異常だったんだよ。その異常性を認めずに正当化しようとするから無理が生じた。その無理が苦しみを生み出してきた。
『年老いた自分の面倒を見させるために子供を作る』
なんて、生き物として本末転倒なことを目的にして子供を求めるようになってしまった。それは子供にとって<呪い>そのものだ。
『親の面倒を見るために自分は作られたのか?』
なんて疑問に苦しめられることになった。生まれてきたことに何の喜びも持てなくなった。
『自分の人生は親の面倒を見ることのためにある』
みたいに思わされたんじゃなあ。
そりゃ歪な社会にもなるさ。
幸い俺は、ここで子供達を迎えたことで、子供達を迎えること自体が俺自身のただの身勝手だってのを骨の髄まで思い知らされたおかげで、
『俺の勝手で子供達をこんな世界に送り出したんだから、育てるなんてのはどこまでいっても俺自身の行いの尻拭いでしかない』
って<原点>に立ち返ることができたんだ。俺は子供達に俺の面倒を見させるために来てもらったんじゃない。
それは、翔も彗も同じだ。
『生涯で一人も子供を持たなかった』
という話になると割合はずっと減るそうだ。
『結婚はしないが子供はいる』
とか、
『結婚はしてないが、認知もしてないが、子供を生ませたことがある』
事例も実は少なくないとも。
この辺りも、眉を顰める人間がいるのは事実でも、未婚で子供を生んでもサポートは確実に受けられるし、
『むしろ当てにできないパートナーがいるよりもメイトギア辺りにサポートしてもらって子供を育てた方がずっと気が楽』
と考える女性も結構いるそうだ。
加えて、健康寿命が二百年。出産適齢期は百数十年あるということで、ほとんどの惑星で出生率はプラスを維持してるとも聞く。
<人口爆発>と言われるほどじゃないにせよ、地球人類の総数は確実に増えていってるそうだ。
ただ同時に、
『宇宙そのものを食いつくす勢い』
かと言われれば、うん、まったくそんなこともないとも。だから生涯未婚も悪くないんだよ。子供を作らなくても、老化抑制処置の効果が切れて体が不自由になっていって介護が必要になってもロボットが面倒を見てくれるし、子供に頼る必要がまったくない。
『老後の面倒を見させるために子供を作る』
なんて不自然なことをする必要がなくなったんだ。そういう意味ではむしろ自然に近付いたとも言えるかもな。野生の生き物で、『自分の子供に老後の面倒を見させる』なんてことをする者はほとんどいないわけで。
人間が、地球人が、異常だったんだよ。その異常性を認めずに正当化しようとするから無理が生じた。その無理が苦しみを生み出してきた。
『年老いた自分の面倒を見させるために子供を作る』
なんて、生き物として本末転倒なことを目的にして子供を求めるようになってしまった。それは子供にとって<呪い>そのものだ。
『親の面倒を見るために自分は作られたのか?』
なんて疑問に苦しめられることになった。生まれてきたことに何の喜びも持てなくなった。
『自分の人生は親の面倒を見ることのためにある』
みたいに思わされたんじゃなあ。
そりゃ歪な社会にもなるさ。
幸い俺は、ここで子供達を迎えたことで、子供達を迎えること自体が俺自身のただの身勝手だってのを骨の髄まで思い知らされたおかげで、
『俺の勝手で子供達をこんな世界に送り出したんだから、育てるなんてのはどこまでいっても俺自身の行いの尻拭いでしかない』
って<原点>に立ち返ることができたんだ。俺は子供達に俺の面倒を見させるために来てもらったんじゃない。
それは、翔も彗も同じだ。
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