未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

彗編 ソフトとハード

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それはまあそれとして、ホビットMk-Ⅱ達は黙々とただ黙々と作業を行ってくれていた。

一度は組み上げた装置をバラしつつ、それぞれのコンポーネントに問題がないかどうかを丁寧に確認していく。だが、問題が見付からない。

しかし、実際に起動しなかったんだからどこかに問題があるはずなんだ。原因がなければ結果は生まれない。<起動しないという結果>をもたらした<原因>がなければそもそもその結果はなかったはずなんだ。

すると、

「あ、これか」

俺が錬慈れんじの相手をしていると、ひかりが声を上げた。俺もタブレットの画面に目を向ける。と、そこには、

「虫……か?」

部品と部品を繋ぐコネクタ部分に、小さな黒い点。それにホビットMk-Ⅱがエアを吹きかけると、一瞬で見えなくなる。映像を拡大して再生すると、やはり潰れた小さな虫のようだった。大きさは一ミリにも満たない。

たったそれだけのものが入り込んでいただけで端子が接触不良を起こし、信号が届かなかったんだ。だから起動できなかった。

ホビットMk-Ⅱらも点検はしてくれていたものの、さすがにそこまで小さな虫が死角に隠れていては発見は難しかっただろう。別にホビットMk-Ⅱの所為じゃない。

しかし、この大仰な装置が一ミリにも満たない虫の所為で起動できないんだからなあ。やれやれだよ。

こうして、日の高いうちには終わるはずだった作業は結果として深夜までかかり、それでも、

「ウォーンン」

と音を立てて<ホビットMk-Ⅱ制御用の純朋群ほうむ製AI>はようやく起動した。

起動したんだが、ここからまたセットアップまでが長い。一般販売されてるような市販品なら簡単に使えるようにと親切設計になってるものだが、これは、素人に使わせるそれらとは違う、しかも試作品だ。加えて、今はまだほとんど中身がないというのもある。

光莉ひかり号のAI内で稼働していた<仮想AI>に蓄積されたデータをコピーしつつ、そのデータそのものが実際に使えるかどうかも逐一チェックしなきゃならない。

ただし、今回のはまだ、ハードこそは朋群ほうむで得られたもののみで作ったものの、実はソフト面では<純朋群ほうむ製>とは言えないんだよな。アルゴリズムが基本的に地球人社会製のそれだから、厳密には本当の意味での<純朋群ほうむ製AI>とは言い切れなかったりもする。するが、ハード面がそうじゃなかったら、ソフトについては後で入れ替えることもできるからな。

で、ハードに依存してる領域については優先的に俺達が手作業で対処してたんだ。

それがまあ何とかなったから今回の試作っていうのはある。

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