上 下
1,858 / 2,387
第四世代

彗編 ホビットサンク

しおりを挟む
ああそれから、アリニドラニ村については、その地下に眠る様々な資源について調査研究するための設備を建造することになった。と言っても、斗真とうまを驚かせるのは申し訳ないので、少し離れた場所にだけどな。そこが完成すれば、ルイーゼに任せることになると思う。

思うが、彼女にはあくまで調査研究に専念してもらって、施設の管理そのものについては桜華おうか高仁こうじんが担当することになるだろう。そのためにも桜華おうか高仁こうじんにはこのままアリニドラニ村にとどまってもらう。

で、こちらについてはそれでいいとして、しばらくご無沙汰だったが、

<ホビットMk-Ⅱが開拓中の集落>

について触れることにしようか。

ちなみにその集落について、

「<ホビットサンク>でどうだろうか?」

<俺達の集落>を別にすると、<アリゼドラゼ村>、<アリニドラニ村>、<ビクキアテグ村>、<アカトキツユ村>に続く<五つ目の村>ということで、五を意味する<サンク>を付けたわけだ。ちなみになぜサンクかと言うと、その前に見てた光莉ひかり号のアーカイブの中にあった、

<ワールドラリーチャンピオンシップ(WRC)>

に参加していた<サンク・ターボ>というラリーカーが印象的だったことで思い付いただけだけだったり。

「うん、いいんじゃない?」

「反対する理由もないしね」

「うんうん」

「僕も異論はない」

「私もです」

「私もそれでいいと思う」

「私は口出しする立場にないしね」

シモーヌとひかりあかり久利生くりうとビアンカとレックスとシオがそれぞれあっさり承諾してくれた。と言うか、ぶっちゃけ、

『お任せ』

ってことだろうな。別に名前はそれほど重要でもないし。

その一方で、ホビットサンクの開拓から得られるホビットMk-Ⅱの運用データそのものは、経験値の蓄積にはすごく役立ってる。光莉ひかり号のAI内の、

<ホビットMk-Ⅱ用仮想AI>

でも経験の積み重ねによる効率化が捗り、結果として先日のヒト蛇ラミアへの対処の際のホビットMk-Ⅱの働きにも繋がったんだ。いかに鈴夏すずかやアンデルセンが指揮してくれてたといっても、そもそもの性能が追い付いていなければ意味がないわけで。

そういう地道な積み重ねが結局は人間社会の発展にも繋がっていくんだ。焦って無理をしようとだいたい失敗する。地球人の歴史もそれの繰り返しだったはずだ。二十世紀頃に大きな問題になった<公害>だって、そういうものの一つだろう。そんな失敗を繰り返さないためにもあくまでも地道にいくさ。

それが俺達の在り方だし、ひかりもそう思ってくれている。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

精霊のお仕事

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:123

転移したらダンジョンの下層だった

Gai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,152pt お気に入り:4,655

悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:13,335pt お気に入り:6,018

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,151pt お気に入り:281

追放の破戒僧は女難から逃げられない

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:597pt お気に入り:167

冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

Gai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,393pt お気に入り:9,008

異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:213pt お気に入り:2,451

処理中です...