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第四世代

彗編 前提が違う

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新暦〇〇三七年五月二十一日



さて、そんなこんなですい清良せいらしょうたいも仲良くやってるってことで良しとして、その一方で、他の子供達の様子を確認する。

と言っても、別に触れなきゃいけないことがなかったって点でお察しなんだよな。

ほまれも、じょうも、そうも、かいも、しんも、ほむらも、あらたも、さいも、りんも、野生で生きている以上はあれこれありつつも、その範囲内では穏やかに生きられてると思う。

ただみんな、見るからに<いい歳>になってきてる。老いを感じさせる。命の期限がいよいよ迫ってきてるのを実感する。その中で錬慈れんじはまさにこれからの命だな。

生後六ヶ月を過ぎて、いよいよお座りもできるようになり、

「ぽあーっ! ぷ! ぷ! うぶるるる!」

とか、何かをしゃべろうとしてる様子もある。それがまた可愛くてなあ♡

そんな錬慈れんじを見ていると、ほまれじょうそうかいしんほむらあらたさいりんの幼かった頃の姿が、それこそ昨日のことのように思い出せる。そして同時に、そんな兄姉達に負けないように錬慈れんじも自分の命を満喫してほしいと思うんだ。

そして、<悔いのない人生>を……

いや、<悔いのない人生>なんてのは、ただの言葉の綾ってものか。本当に何一つ悔いがない人生を送れる命なんて、滅多にないだろう。そもそも<悔い>なんてものを感じるメンタリティを持たないものならともかく。

俺だって腐るほど悔いはある。あの時ああしてればよかった、こうしてればよかった、なんてのは思い出さない日はないくらいだ。

でもな、そういう悔いもひっくるめて最後には笑い飛ばして死ねるような生き方をしたいとは思う。子供達にもそんな生き方をしてほしいと思う。

思うんだが、子供達は俺とは別の存在だからな。その心中を完全に理解することはできやしない。めいだって、本心ではどう思ってたか分かりはしないよ。あくまで、

『死にたくない!』

と泣き喚いて死んでいったわけじゃない。てのが分かるだけだ。内心では俺を恨んでたかもしれないさ。

『こんな世界に生み出しやがって!』

とかな。

だけどそれも覚悟してる。親ってのは、自分の子供に恨まれる覚悟も持たなきゃやってられないさ。何しろ<自分じゃない人間>を勝手にこの世に送り出して育てるんだからな。むしろその程度の覚悟もなく親でいようってのが俺には理解できないね。

幸い、俺の場合はほとんどの子供達の生涯を見送ることができそうだ。孫達や曾孫達は俺が送り出したわけじゃないからまた別としても、子供達の最後を看取れることが俺にとっては<救い>でもある。

『親より先に子供が死ぬのは最大の親不孝だ』

とは言われるが、俺の場合はこんな世界に送り出してしまったからな。『前提が違う』ってもんだ。

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