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第四世代
光編 大変なお転婆
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光達の朝食は基本的に全員揃ってとる。和と陽だけじゃなく、陽にべったりな麗ももう家族の一員だ。
で、朝食を済ませると、それこそ萌花は集落中を縦横無尽に走り回って遊ぶ。焔と彩の<愛の巣>の壁もお構いなしに駆け上がり、屋根に上って和や陽や麗目掛けてジャンプなんてこともする。しかも、すっぽんぽんのままで。大変なお転婆だ。
まったく。光はすごくおとなしい子だったのにな。順に似たということだろうか。
まあでも、陽や陽とは血が繋がってなくても和がお転婆な子だったし、それの影響を受けてると言われればそうかもしれない。何しろ光は、他の兄弟姉妹と姿が全く違ってて、エレクシアを母親代わりに育ったしな。エレクシアの佇まいを真似てたんだとすれば『さもありなん』とも言えるのか。
だからやっぱり実の親子でも<別の人間>だというのを改めて感じるな。
ちなみに焔と彩にとっては実の姪に当たるが、二人は関心がないようだ。これは深も同じで、さらに血縁上は従兄にあたる鋭、そして鋭のパートナーである玲やその子供のメイもまた同じだ。それぞれがそれぞれのペースで生きてて、余計な干渉をしない。萌花としても、焔や彩や深や鋭や玲やメイのことはちょっと怖いらしくて、本人にはあまり近付こうとしない。
だからこそ無用な衝突も起こらずに済んでるんだろうと思えば、それでいいさ。いくら親戚だからといって、それぞれ生き方もあるし考え方もあるし感じ方も違う。そういう当たり前のことを当たり前としてそれ前提に生きられる社会であってほしいと願う。
などという俺の想いはさておいて、この辺りになるとさすがに俺も賑やかな様子に目が覚めてしまったりもする。
だが、錬慈はまだぐっすりだ。もしかするとこの子は大物になるかもしれないと、親バカぶりを発揮したり。
「おはよう。今日も萌花は元気だな」
ある意味じゃ俺達共有のリビングのような役目を果たしてる、光莉号を利用して張ったタープの下に置かれたテーブルに着いてデータ整理の仕事をしている光に挨拶する。
「おはよう。錬慈はどう?」
そう気遣ってくれる彼女に、
「ああ、おかげでぐっすりだ」
笑顔で応える。和や陽の時からそうだったが、子供達には全力で遊んでもらってることもあってか、夜にはみんなぐっすりだし、錬慈の眠りを妨げるような騒ぎを起こすのもいない。
そうすると、遊び疲れたのか萌花がやってきて、
「ママ~……」
光に甘えて抱き着いてきた。
「はいはい。よしよし。いい子ね」
穏やかに声を掛けながら萌花を抱き上げると、たちまち眠りについてしまう。
するとそれを見た順が、
「いこうか」
和と陽と麗に声を掛けた。日課の<縄張りの偵察>だ。
で、朝食を済ませると、それこそ萌花は集落中を縦横無尽に走り回って遊ぶ。焔と彩の<愛の巣>の壁もお構いなしに駆け上がり、屋根に上って和や陽や麗目掛けてジャンプなんてこともする。しかも、すっぽんぽんのままで。大変なお転婆だ。
まったく。光はすごくおとなしい子だったのにな。順に似たということだろうか。
まあでも、陽や陽とは血が繋がってなくても和がお転婆な子だったし、それの影響を受けてると言われればそうかもしれない。何しろ光は、他の兄弟姉妹と姿が全く違ってて、エレクシアを母親代わりに育ったしな。エレクシアの佇まいを真似てたんだとすれば『さもありなん』とも言えるのか。
だからやっぱり実の親子でも<別の人間>だというのを改めて感じるな。
ちなみに焔と彩にとっては実の姪に当たるが、二人は関心がないようだ。これは深も同じで、さらに血縁上は従兄にあたる鋭、そして鋭のパートナーである玲やその子供のメイもまた同じだ。それぞれがそれぞれのペースで生きてて、余計な干渉をしない。萌花としても、焔や彩や深や鋭や玲やメイのことはちょっと怖いらしくて、本人にはあまり近付こうとしない。
だからこそ無用な衝突も起こらずに済んでるんだろうと思えば、それでいいさ。いくら親戚だからといって、それぞれ生き方もあるし考え方もあるし感じ方も違う。そういう当たり前のことを当たり前としてそれ前提に生きられる社会であってほしいと願う。
などという俺の想いはさておいて、この辺りになるとさすがに俺も賑やかな様子に目が覚めてしまったりもする。
だが、錬慈はまだぐっすりだ。もしかするとこの子は大物になるかもしれないと、親バカぶりを発揮したり。
「おはよう。今日も萌花は元気だな」
ある意味じゃ俺達共有のリビングのような役目を果たしてる、光莉号を利用して張ったタープの下に置かれたテーブルに着いてデータ整理の仕事をしている光に挨拶する。
「おはよう。錬慈はどう?」
そう気遣ってくれる彼女に、
「ああ、おかげでぐっすりだ」
笑顔で応える。和や陽の時からそうだったが、子供達には全力で遊んでもらってることもあってか、夜にはみんなぐっすりだし、錬慈の眠りを妨げるような騒ぎを起こすのもいない。
そうすると、遊び疲れたのか萌花がやってきて、
「ママ~……」
光に甘えて抱き着いてきた。
「はいはい。よしよし。いい子ね」
穏やかに声を掛けながら萌花を抱き上げると、たちまち眠りについてしまう。
するとそれを見た順が、
「いこうか」
和と陽と麗に声を掛けた。日課の<縄張りの偵察>だ。
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