上 下
1,817 / 2,387
第四世代

光編 幸運を当てにした戦略

しおりを挟む
ヒト蛇ラミアを捕獲し台地の麓に移送する作戦を実行するため、機動部隊を集結させ、とにかくその場に釘付けにする形に変更。ヘリが、哨戒中だったそれぞれの小隊をピックアップに向かう。

一方、コーネリアス号の医務室では麻酔薬の精製を急ぐ。ここ朋群ほうむで得た薬効成分を用いたものだ。地球人社会で精製されたそれだと、この地の生物にどんな影響が出るかまだ十分に治験が得られてないからというのもあって、念のためそうすることにしたんだ。ちなみに麻酔薬の精製にはレックスの手も借りる。彼はそっち方面でも知見があるとのことで。

まあ、夷嶽いがく牙斬がざんは大丈夫だったから大丈夫だとは思うものの、万が一があってもつまらないしな。

同時に、アリアンのメンテナンスも十分なものを行う。作業はすべてドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱではあるものの、監督はアリアンと鈴夏すずかだ。と言うか、アリアンと鈴夏すずかの手足としてドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱがいると言った方がいいかもな。

それもあって、一部の隙もなく数百項目もの万全のチェックが行われていく。ほとんど毎日行われているものを改めて行っているだけだが、人間が作業するのと違って何度でも同じことを苦痛を覚えることなく行えるロボットならではのものだと言えるだろう。

その間に、第三小隊と第五小隊がヘリの二号機で、第二小隊と第四小隊と第七小隊がヘリの三号機で、現場に到着。ワイヤーで降下。対応に移る。

これらがすべて同時進行で行えるから、数を揃えた意義が実感できるよ。

『戦いは数だよ、兄貴』

大昔のアニメか何かのセリフが今でも有効だというのを思い知らされるな。実は少数精鋭の部隊で状況を打破するという事例もあるものの、実はその少数精鋭の部隊を<精鋭>たらしめるのは、

『少数の精鋭を生み出せるだけの十分な兵力』

があってのことだそうだ。そういう背景もなしで飛び抜けた少数の精鋭が集まるなんてことはただの<幸運>であって、<まぐれ>と言っていいらしい。

久利生くりうも、

「幸運を当てにした戦略は<戦略>とは呼べないよ。単なる無謀だ」

と苦笑いする。

だから俺がロボットの数を確保しようとすることについて彼も支持してくれていた。

こうして六つの機動部隊、三十六機のロボットでヒト蛇ラミアを取り囲む。

一見しただけなら卑怯にも思えるかもしれないが、確実にヒト蛇ラミアを包囲し、何もさせないことで逆にヒト蛇ラミア自身を守るためでもある。

麻酔薬を装備した鈴夏すずかとアンデルセンが現場に到着するまでの間、な。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】Fragment

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:335

病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

SF / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:529

いまさら好きだと言われても、私たち先日離婚したばかりですが。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:563

どうやら、我慢する必要はなかったみたいです。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,961pt お気に入り:3,042

世界⇔異世界 THERE AND BACK!!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:307

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:1,291

婚約破棄 ~ガチでやられると結構キツい~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:4,522

処理中です...