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第四世代
光編 駄々という形で喚き散らすという手法
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新暦〇〇三七年三月十日
幼い子供がなぜ<駄々>をこねるのか、考えたことはあるか?
『幼児は駄々をこねるものだ!』
と思ってるかもしれないが、それは正しくない。もちろん<我儘>は口にしたりするさ。自分の感情を優先しようとはするさ。だが、
<駄々という形で喚き散らすという手法>
ってのは、あくまで<学習>によって身に付けるものであることが判明してる。その手本になるものを目の当たりにしてきたことで、参考にしてるんだ。
なにしろ大人は、大きな声を上げて相手を自分の思い通りに操ろうとするからなあ。特に子供相手にはよくやるだろう? それだけじゃない。父親が母親に対して、母親が父親に対して、子供の前で大きな声を上げて言うことを聞かせようとしたりする。
そんな様子を子供は学び取ってしまうそうだ。
<大きな声を張り上げて相手に言うことを聞かせようとする手法>
をな。
エレクシアからその話を聞いた時、俺は実感しかなかったよ。何しろ光も灯も、『駄々をこねる』というのがほとんどなかった。自分の思ってる通りに行かないと拗ねた様子を見せることはあったものの、
『大声で喚き散らして相手を従わせようとする』
ということはほとんどなかったんだ。それは結局、俺があまりそういうことをしなかったからだと思う。
もちろん、つい声を荒げてしまうことは何度もあった。特に、誉や走や凱に対してはな。
ただそれは、そうやって言うことを聞かせようとしていたというよりは、まあ本当に『つい』というだけで、元々、服従を求めていたわけじゃないんだ。期待していたわけじゃないんだ。
加えて、あくまで<ポーズ>として<ツッコミ>として頭の中は冷静な状態で、
『大きな声を出しているふりをする』
だけじゃなく、本気でつい『声を荒げてしまった』時には、
「ごめん」
と詫びるようにしていたしな。そう、
『感情的に声を荒げるという振る舞いは、後に謝罪が必要になる好ましからざる行いだ』
ってのを示すようにしていたというのもある。だからそれを<正当なもの>としての認識が俺の子供達にはないんだよ。
だから我儘を口にする時だって<お願い>って感じで、とにかく大声を張り上げて自分の要求を聞き入れさせようとする形じゃなかった。
しかも俺は、頭ごなしに否定もしなかったしな。聞き入れられるものは聞き入れるし、聞き入れられないものについては納得してもらえるまで丁寧に説明するようにしてた。
その手間を惜しんで大きな声を張り上げて相手を従わせようとするから、そんな手っ取り早い手法を子供だって取り入れてしまうんだろうさ。
『そうした方が楽』
なんだろ?
幼い子供がなぜ<駄々>をこねるのか、考えたことはあるか?
『幼児は駄々をこねるものだ!』
と思ってるかもしれないが、それは正しくない。もちろん<我儘>は口にしたりするさ。自分の感情を優先しようとはするさ。だが、
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ってのは、あくまで<学習>によって身に付けるものであることが判明してる。その手本になるものを目の当たりにしてきたことで、参考にしてるんだ。
なにしろ大人は、大きな声を上げて相手を自分の思い通りに操ろうとするからなあ。特に子供相手にはよくやるだろう? それだけじゃない。父親が母親に対して、母親が父親に対して、子供の前で大きな声を上げて言うことを聞かせようとしたりする。
そんな様子を子供は学び取ってしまうそうだ。
<大きな声を張り上げて相手に言うことを聞かせようとする手法>
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ということはほとんどなかったんだ。それは結局、俺があまりそういうことをしなかったからだと思う。
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加えて、あくまで<ポーズ>として<ツッコミ>として頭の中は冷静な状態で、
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だけじゃなく、本気でつい『声を荒げてしまった』時には、
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と詫びるようにしていたしな。そう、
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ってのを示すようにしていたというのもある。だからそれを<正当なもの>としての認識が俺の子供達にはないんだよ。
だから我儘を口にする時だって<お願い>って感じで、とにかく大声を張り上げて自分の要求を聞き入れさせようとする形じゃなかった。
しかも俺は、頭ごなしに否定もしなかったしな。聞き入れられるものは聞き入れるし、聞き入れられないものについては納得してもらえるまで丁寧に説明するようにしてた。
その手間を惜しんで大きな声を張り上げて相手を従わせようとするから、そんな手っ取り早い手法を子供だって取り入れてしまうんだろうさ。
『そうした方が楽』
なんだろ?
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