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第四世代

光編 地上に降下

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ヘリに搭乗した機動部隊が<対怪物用打撃銃>を構えてヒト蛇ラミアに接近。射撃を開始する。

しかし今回は踏ん張りが効く地上だったこともあってか、加えて有効射程距離ギリギリの距離を取っていたからか、初弾は全弾躱されてしまった。弾速が、動体視力のいい者なら人間(地球人)でさえ捉えられる程度のものとはいえ、さすがに甘くないか。

さりとて、機動部隊の目的は、

ヒト蛇ラミアを倒すこと』

じゃなく、ただ単にルイーゼ達の進路予定の場所から追い払うと言うかこの場から誘導することだ。だからこうして挑発する形になり追ってきてくれるならそれでもかまわない。

ヒト蛇ラミアの上空を旋回し、その間に次弾を装填。さらに近付いて次はどう躱しても命中するように、リンクしたドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱがそれぞれ微妙に狙いをずらして<面攻撃>を図る。

すると今度は肩や胴に命中した。

「ガアッ!!」

なのにヒト蛇ラミアは怯むどころかさらに歯を剥き出して威嚇してくる。しかし、これだけ怒らせることができればいいだろう。ヘリが後退して距離を取ろうとするとヒト蛇ラミアはそれを追う様子を見せたしな。

だからさらに射撃を行いながらヘリを後退させ、誘導を試みる。

が、百メートルほど移動したところで、ヒト蛇ラミアは止まってしまった。

夷嶽いがくもそうだったが、明らかに届かない距離を保たれてると察すると追うのをやめる感じか。ばんと対峙したヒト蛇ラミアの時はそれこそ近接戦闘だったから猛然と襲い掛かってきていたな。

だとすれば、

「全機、地上に降下し、誘導を試みろ」

ひかりがそう指示を出す。地上に降りて攻撃が届きそうな距離を保ちつつ誘導する方法に切り替える。実際に対応するのはロボットだから躊躇もない。そのためのロボットだ。

何度も言うように、基本的にはコーネリアス号のAIの空いた部分に仮想のAIを構築してボディをリモートでコントロールしている形だから、あくまで<本体>はコーネリアス号の中にある状態で、現場で稼働しているボディは壊れても修理すればいいしいざとなれば取り換えが効く。加えてロボットは苦痛を感じない。ならば躊躇う理由はない。

実際、ドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱは一瞬の躊躇もなく指示通りワイヤーで地上に降下すると、ヒト蛇ラミアが猛然と襲い掛かってきた。こうして追ってきてくれるならむしろ<対怪物用打撃銃>は使わずに済む。実はこの時、もうすでにホビットMk-Ⅱのマニピュレータだけじゃなくボディ側のフレームにまで歪みが出ていたそうだ。ドーベルマンMPMは大丈夫だったんだが。

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