上 下
1,788 / 2,387
第四世代

光編 遠い存在

しおりを挟む
そんなわけで取り敢えずはヒト蛇ラミアの対処を行う。今回はあくまで追い払ってルイーゼ達の進路の安全を確保するのが目的だ。

鈴夏すずか、アンデルセン、サポートをお願い」

ひかりが、鈴夏すずかとアンデルセンに、機動部隊として派遣されるドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱのサポートを指示する。これはあくまで指示であり、今回のヒト蛇ラミアに関する作戦として俺が元々与えておいた命令の範疇に収まることなので改めて命令する必要がない。

「承知しました」

鈴夏すずかとアンデルセンもすぐに応じてくれる。

すでに四機目となったヘリに搭乗した機動部隊が、ヒト蛇ラミアのいる場所に到着、現認。

「また大きくなってるな……」

ひかりがそう呟いたのが、タブレットを通じて届いてくる。俺は錬慈れんじのオムツを替えながらそれを耳にしていた。正直なところ、俺が口を挟まなきゃいけないような部分はもうない。それにこの手の対処についてはビアンカや久利生くりうがいれば的確なアドバイスを出してくれるしな。だからひかりの役目はあくまで俺の代行として全体の指揮をするだけだ。

だから当然、ビアンカや久利生くりうも同じくタブレットを通じて確認してくれている。

俺もちらりとタブレットに目をやると、確かに最初に現れた時に比べると二回りは大きくなっているヒト蛇ラミアの姿が。

ちなみに今回のヒト蛇ラミアの<人間に似た部分>については、コーネリアス号の乗員の誰とも一致しなかった。ルコアのように乗員達の間に生まれた子供などの可能性もありつつ、いかんせん人間性を備えている様子がまったくないので、あくまでもただの<ヒト蛇ラミア>として対処する。

ルコアとしては複雑な思いもあるらしいが、こればっかりはな。アラニーズのビアンカとばんヒト蜘蛛アラクネの違いと似たような話だから、ここは割り切ってもらうしかない。

それに、ルコアの胴には通常は鱗が生えていないが、このヒト蛇ラミアには元から鱗が生えている。だから、そもそもアラニーズとヒト蜘蛛アラクネ以上にまったく別の種族なんだ。おそらくは、地球人とチンパンジーよりも遠い存在だ。それは遺伝子的にも確認されている。サーペンティアンのルコアとヒト蛇ラミアには、遺伝子上の共通点が少ないんだよ。

そんなヒト蛇ラミアは、ヘリを見ると歯を剥き出して高々と体を立ち上がらせて、威嚇してきた。以前に追い払われた時よりも自分が強くなっている実感があるのか、今のところは逃げようとしていない。

なので、ヘリからドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱが身を乗り出して、<対怪物用打撃銃>を構え、射程距離に捉えるために接近したのだった。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

精霊のお仕事

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:123

転移したらダンジョンの下層だった

Gai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,152pt お気に入り:4,655

悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:13,335pt お気に入り:6,018

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,151pt お気に入り:281

追放の破戒僧は女難から逃げられない

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:597pt お気に入り:167

冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

Gai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,393pt お気に入り:9,008

異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:213pt お気に入り:2,451

処理中です...