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第四世代

光編 いい塩梅

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新暦〇〇三七年二月二十日



錬慈れんじが生まれて三ヶ月が過ぎ、どうやら首がすわってきたようだ。抱き上げる時、俺も彼の頭を手で支えようと添えるんだが、そこにほとんど重さを感じないんだ。彼自身が自らの力で自分の頭を支えているのが分かる。

「ガシャン! バリバリ!」

と、どうやら萌花ほのかがまた家を壊したようだ。その音にビクッと体を反応させ、素早く頭を音のした方に向ける。

最初はその手の破壊音がしたりすると怯えてぐずったが、近頃はそこまでじゃなくなった。

「大丈夫。大丈夫だ。俺がついてる」

穏やかに声を掛けながらあやしていたことで、

『パパがいれば大丈夫』

と分かってくれたのかもしれない。まあ、それ以上に、頻繁にそういう音がするから、『いちいち怯えていても仕方ない』というのも分かってきたのかもしれないが。

それがどちらにせよ、体も大きくなってきて、肉もついてきて、なかなか貫禄が出てきた気がする。体重や身長はおおむね標準の範囲に収まってるから特別大きいとか太ってるとかいうわけじゃないと思うが、

「ふむ~……」

って感じでベッドに収まっている姿などは、何気に、

『おっさんみたいだな……』

とも思わされたりするんだよ。でも、それでいい。なにしろ俺やシモーヌの顔を見ると『にっこお♡』って満面の笑顔を向けてくれるしな。こうなるともう腰が抜けそうなくらい可愛い♡

もちろん、ひかりあかりも可愛かったが、成長が早かった分、変化が目まぐるしくてゆっくり楽しめなかった気がするのも正直なところだったんだ。その点、錬慈れんじはたっぷりと楽しませてくれる。

そんな彼を見て、俺とシモーヌも互いに顔を見合わせて、お互いのデレデレに崩れたそれもまた笑えてきて。

俺がエレクシアを愛していることとか、シモーヌが今もレックスを愛していることとか、そういうのも全部ひっくるめてこれが今の俺達なんだなって改めて思わされるな。

こんな俺達だからこそ今のこの気持ちがあるんだと改めて実感する。みな、何もかもが自分の思い通りになるわけじゃないことを承知してて、その上でお互いになるべく素直に自分の要望を口にするようにして、無理に自分を抑えつけ過ぎないようにしている。

叶えられることは可能な限り叶え、叶えられないことであっても、代替案があるならそれを叶える努力をし、互いに折り合いを付けられる点を探していく。

一緒に暮らしていられるなら一緒に、距離を取った方が穏やかでいられるなら敢えて距離を取り、<いい塩梅>を探っていくんだ。

そんな中でルイーゼが鉱物調査に夢中になっているのも、彼女なりの<いい塩梅>なんだろうな。

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