未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
1,784 / 2,636
第四世代

光編 人間の価値

しおりを挟む
新暦〇〇三七年二月四日



ひかりあかりが俺のそういう部分を真似ずに済んだ』

いや、もしかしたら必ずしもそうじゃないかもしれない。二人もかなり細かいことに頓着しない部分があるから、もしかしたらそんな形で真似してしまっているのかもな。

ただ、誰かを意図的に傷付けようとするものじゃなければ、まあ、あまり気にしないでもいいかとは思う。

ルイーゼの場合もそういうことだ。彼女の無頓着さは、自分自身に対してはなかなかに厳しいものだとしても、別にそれで誰かを傷付けようとしてるわけじゃない。桜華おうかがサポートすれば済む話だ。そのためのロボットだしな。

加えて彼女の場合は、<鉱物の専門家>という形で俺達に恩恵をもたらしてくれる存在でもある。

だが、ここで注意しなければいけないのは、

『じゃあ、恩恵をもたらしてくれない人間は、存在する価値もないのか?』

という話にはならないということだ。<価値>で人間を語るのは、実は人間の存在そのものを否定する考え方でもある。

なにしろ人間はこれまで、大変な損害を地球や植民惑星の自然に与えてきたからな。それを考えると人間(地球人)の存在はむしろ害悪でさえあると断じる者さえいる。六十世紀になってもなお、

『人間(地球人)こそが害悪だから排除するべき』

と考えてテロ活動を行ってる連中もいたそうだ。<環境テロリスト>と言われる連中だな。

そういう奴らが唱える理屈も、結局は<価値>というものを根拠にしているそうだし。

『自然にこそ価値があり、人間(地球人)には価値がない』

極論すればそういうことらしい。

だが、違う。それは違う。価値のあるなしで語るのは、自らの首を絞める行為なんだ。何しろ<価値>なんてものは、どこに基準を置くかでまったく変わってしまうんだからな。

ましてや<人間の価値>なんて、それこそいい加減で曖昧なものでしかないわけで。

となれば、ここにできる社会においては、<価値>を、命というものの判断基準に置くのは避けるべきだろうな。

地球人社会においても、<一部の人間にとって価値のあるもの>に基準を置いたことで大変な悲劇が繰り返されてきたそうだし。

『どんな宗教を信仰しているか?』

というのもそういうものの一つだろう?

自分達が信仰している宗教にのみ価値があり、それ以外には価値がない。それどころか害悪であると考えたから<邪教>などとして迫害したということもあったはずだ。

ルイーゼは確かに俺達に有益な情報をもたらしてくれたし、これからももたらしてくれるだろう。けれど、彼女がこの世界で生きていられるかどうかは、それとは関係ないんだ。

そしてひかりもそれは承知してくれている。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...