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第四世代

光編 Hiシリコン

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新暦〇〇三六年十二月二十三日



その、<ケイ素に似た元素が基になった鉱物>は、ここまでのところケイ素としての性質しか検出できなかったことで、俺達はただケイ素の一部としての利用しか考えていなかった。まあ、主に<シリコン>としてって感じだな。半導体として使うための。

だが、ルイーゼはその<ケイ素に似た元素>を入念に調べ始めた。コーネリアス号の工作室の一部にもなっている<実験室>にこもり、何か精密な検査をしているようだ。

「正直、私にはさっぱりだ」

レックスに彼女が何をしているのか訊いてみたが、鉱物は彼の得意分野とは大きく外れているそうで、はっきり言って俺と大差ない程度の素人のため見当もつかないという。

これはシオもシモーヌも同じで、さらにビアンカと久利生くりうはあくまで基本的に軍人であり、その上で医学の知識もあるだけなため、こちらもまったくなのだという。

そして、実験室にこもること三日。不眠不休で調べていた彼女が言うには、

「これは、Hiシリコンの同位体だ」

とのこと。

「Hiシリコン……?」

ピンと来てない俺に、エレクシアが補足説明してくれる。

「Hiシリコンはケイ素と炭素の中間に位置し、グラファイト構造を形成する元素です。資源惑星H5669とT3541でのみ産出される希少なもので、超AIを製造する際に必須とされています」

が、それでもいまいちよく分からなかったが、

「これがあれば、現在運用中の試作AIの性能が飛躍的に向上するでしょう」

と言われて、

「マジか……!?」

ハッとなる。それに対してルイーゼも、

「半導体への加工は、難しくない。コーネリアス号の工作室でもできる。これを用いたAIは、理論上、一般的なケイ素などを材料にした半導体を用いたAIの五百十二倍の性能を達成できるはずだ」

と付け足してくれた。さらにエレクシアが、

「マスターでも分かるように説明しますと、ホビットMk-Ⅱを制御するために用意するはずでした、<戸建て住宅並みの大きさのAI>の同等品が、私達メイトギアのメインフレーム並みの大きさで実現できる可能性が出てきたということです」

噛み砕いて説明してくれたことで、完全に理解できた。つまり、ホビットMk-Ⅱ自体を完全なスタンドアロン機にできるかもしれないってことだよな?

ああそうだ。アリスとドライツェン、ドーベルマンDK-a、ドーベルマンMPMについては、コーネリアス号に残されていた部品を基に組んだAIを順次搭載し、ほぼスタンドアロンを可能にしている。今は厳密にはスタンドアロンじゃないが、いずれはそういう形で運用する予定である。

だが、<純・朋群ほうむ製AI>での運用を想定していたホビットMk-Ⅱは、到底、機体に搭載できるものになる見込みがなかったんだ。

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