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第四世代

光編 機動部隊のヘリ

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非常に凶暴で強力ではあるものの、今回のヒト蛇ラミアは、牙斬がざんほどの特異な能力は備えていないようだ。電磁バーストによる<電磁パルス攻撃>も行ってこない。基本的には、みずちや、<ばんと対峙したヒト蛇ラミア>と同等程度の能力と考えていいのかもしれない。

とは言え、みずちは成長したからこその強さだっただろうし、こうやって顕現したその時点でこの強さというのは、やはりみずちよりは強くなってると考えた方がいいだろうけどな。

そんなヒト蛇ラミアを相手に、ドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱ達はよく頑張ってるよ。要救助者から気を逸らすこともできている。十分な活躍ぶりだ。

人間だけで編成された部隊よりも優秀だと思う。

何度も際どい瞬間はありつつ、決してパニックにならず硬直せず、顔面を狙ってショットガンを放ったりすることで陽動し隙を作り、狙いを付けさせない。致命的な一撃はもらわない。

加えて、躊躇うことなくボートの上で移動して重心移動を図り、転覆しそうなほどにまで傾けてギリギリで躱してみせるという、曲芸のようなこともやってみせる。この辺りも、ドーベルマンMPMやホビットMk-Ⅱに搭載しているAI自体の性能が向上したことも地味に効いているだろう。<高度な思考>についてはいまだにコーネリアス号のAIの空いた領域を間借りして行ってるが、動物で言うところの<反射神経>的な部分を受け持つ限定的な判断などを行うAIは機体に搭載してるからな。

まあ、ショットガンで顔を狙われても咄嗟に手で庇い弾丸をはじき返すヒト蛇ラミアもたいがいおかしいんだけどな。普通の猛獣ならその時点で終わってるわけで。

なんて調子で、互いに決め手を欠く状態で拮抗しつつ時間稼ぎはできて、

バリバリバリ!

と独特の音を響かせて、<機動部隊のヘリ>が駆け付けた。

「!?」

これにはさすがのヒト蛇ラミアも警戒した様子を見せる。そこに、ヘリから身を乗り出したドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱらが、<ロケット砲のようなもの>を構える。これは、がく夷嶽いがくみずちといった、

<タングステン並の強度の鱗を備えた大型の怪物>

に対して打撃を加える、

<鉄球を樹脂でコーティングした野球ボール並みの大きさの弾を放つ専用銃>

だ。正直、普通の動物に直撃させると、たぶんだいたい死ぬ。何しろ、表面は樹脂でコーティングされてるとは言え重量約一キロの弾を時速五百キロ以上の速度で撃ち出すんだ。普通の動物なら骨も内臓も確実に粉砕される。人間(地球人)だったらそれこそ即死だな。

しかしこれでも、がく夷嶽いがくみずちであればよほど当たり所が悪くない限り死なないだろうと推測されている。

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