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第四世代
光編 プロローグ
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新暦〇〇三六年十一月二十一日
俺とシモーヌの子供<錬慈>が生まれ、元気な彼はおなかが減ったりオムツが汚れると大きな声で泣くこともあって、俺達の群れはますます賑やかになっていた。
そして俺は、シモーヌと共に錬慈の世話に明け暮れる。
錬慈は、光や灯と違って、それこそ地球人とほとんど変わらなかった。成長速度も、ここまでの様子からすると地球人とほとんど変わらないようだ。
しかしこれはたぶん、朋群で生きていく上ではまず間違いなく不利になる。それこそ、地球人社会においては、
<発達障害>
と見做されるレベルの差だろう。もちろん、錬慈の成長速度の方が地球人社会においては標準的で、和や陽や萌花や未来や黎明やメイや蒼穹が早すぎるだけだ。加えて、肉体の成長速度こそ遅くても、知能そのものは変わらないか、むしろ少し早いくらいだろうけどな。
だからあくまで、
『他の子とは違う』
というだけの話でしかない。だから俺は、錬慈の成長が和や陽や萌花や未来や黎明やメイや蒼穹よりも遅くても、気にしないでおこうと、シモーヌと話し合った。
「うん。そうだね。それぞれ違ってる方が自然では当たり前なんだ」
彼女もそう言ってくれる。そんな風に考えられる彼女だから、俺も頼りにできるんだ。
そして、光も、
「分かってる。錬慈は錬慈だよ。子供達にもそれは分かってもらうから」
と言ってくれた。
今、俺が錬慈の世話に集中してる分、光がデータの整理等の仕事をこなしてくれている。まあ実際にはエレクシアがやってくれてることの補助だが、これは俺がやってた時も同じだから別に問題はない。
むしろ、彼女がすっかり俺と同じことができるようになってるのが頼もしい。これでもういつでも引退できそうだ。
とは言え、俺自身も、肉体年齢としては、老化抑制技術が実用化される以前の地球人で言えばざっと四十代半ばか五十代手前くらいに差し掛かった感じか。治療用カプセルでのリフレッシュも行ってるから、実際にはもっと若いかもしれないし、まだまだ当分は現役でいられるだろう。
それでも、後進が育ってくれているのは喜ばしい限りだと思う。加えて、灯やビアンカや久利生やシオやレックスもいる。みんながいれば万が一のことがあっても心配は要らないさ。
そんな光は、和や陽も手が離れつつあることもあり、萌花の育児との両立もこなしてくれている。萌花も、二歳を過ぎてお転婆盛りだ。和や陽や麗に相手をしてもらって、集落中を走り回って跳び回ってる。
ガシャッ! バキンッ!
とまた派手に何かが壊れる音がしたが、元気が何より。怪我がなければそれでいいさ。
俺とシモーヌの子供<錬慈>が生まれ、元気な彼はおなかが減ったりオムツが汚れると大きな声で泣くこともあって、俺達の群れはますます賑やかになっていた。
そして俺は、シモーヌと共に錬慈の世話に明け暮れる。
錬慈は、光や灯と違って、それこそ地球人とほとんど変わらなかった。成長速度も、ここまでの様子からすると地球人とほとんど変わらないようだ。
しかしこれはたぶん、朋群で生きていく上ではまず間違いなく不利になる。それこそ、地球人社会においては、
<発達障害>
と見做されるレベルの差だろう。もちろん、錬慈の成長速度の方が地球人社会においては標準的で、和や陽や萌花や未来や黎明やメイや蒼穹が早すぎるだけだ。加えて、肉体の成長速度こそ遅くても、知能そのものは変わらないか、むしろ少し早いくらいだろうけどな。
だからあくまで、
『他の子とは違う』
というだけの話でしかない。だから俺は、錬慈の成長が和や陽や萌花や未来や黎明やメイや蒼穹よりも遅くても、気にしないでおこうと、シモーヌと話し合った。
「うん。そうだね。それぞれ違ってる方が自然では当たり前なんだ」
彼女もそう言ってくれる。そんな風に考えられる彼女だから、俺も頼りにできるんだ。
そして、光も、
「分かってる。錬慈は錬慈だよ。子供達にもそれは分かってもらうから」
と言ってくれた。
今、俺が錬慈の世話に集中してる分、光がデータの整理等の仕事をこなしてくれている。まあ実際にはエレクシアがやってくれてることの補助だが、これは俺がやってた時も同じだから別に問題はない。
むしろ、彼女がすっかり俺と同じことができるようになってるのが頼もしい。これでもういつでも引退できそうだ。
とは言え、俺自身も、肉体年齢としては、老化抑制技術が実用化される以前の地球人で言えばざっと四十代半ばか五十代手前くらいに差し掛かった感じか。治療用カプセルでのリフレッシュも行ってるから、実際にはもっと若いかもしれないし、まだまだ当分は現役でいられるだろう。
それでも、後進が育ってくれているのは喜ばしい限りだと思う。加えて、灯やビアンカや久利生やシオやレックスもいる。みんながいれば万が一のことがあっても心配は要らないさ。
そんな光は、和や陽も手が離れつつあることもあり、萌花の育児との両立もこなしてくれている。萌花も、二歳を過ぎてお転婆盛りだ。和や陽や麗に相手をしてもらって、集落中を走り回って跳び回ってる。
ガシャッ! バキンッ!
とまた派手に何かが壊れる音がしたが、元気が何より。怪我がなければそれでいいさ。
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