未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

シモーヌ編 孤立無援

今回の試運転を重ねる中で、

「いずれは、河などに仮設の橋を架けて超えられるようにもした方がいいかもしれない。アリアンだけでは対処しきれなくなるだろうからね」

久利生くりうにはそう指摘も受けた。確かに、元軍人の彼からすると俺のやってることはさぞかしまどろっこしくも見えるだろう。今回のようなそれは、軍事作戦ではそのまま当たり前に行われているようなことだろうしな。

で、ホビットMk-Ⅱの数が大隊規模（取り敢えず五百機ほどか）になればそれこそ久利生くりうの言うように部隊だけでの移動が成し遂げられる形にしなくちゃな。そして、実際に軍で仮設橋梁の運用を行ったこともある彼のアドバイスにより、早速、準備を始める。二号車以降で実際にそれを試すためだ。

だが、日が暮れ始めた頃、移動距離が五百二十キロを超えた辺りで雨が降り出した。雨足そのものは大したことがなかったものの、地面がぬかるみ、速度が上がらなくなる。だから余計に慎重に移動を行う。なにしろ、母艦ドローンも雨を避けるために雲の上に退避していて、水先案内ができない。移動電源から見える範囲内でしか判断ができないんだ。

しかしその後、さらに雨足が強くなってきて、加えて雷が。落雷を避けるためにアリアンも距離を取らせて派遣を控える。もちろん落雷対策は施されているものの、万が一のことがあっては修理もままならないからな。外装パーツは代用品を作ればどうにかなるにせよ、ブランゲッタやスーパーキャパシタが故障すると、もう直せない。

こうして孤立無援となった移動電源は河に行き当たり、遂に先に進めなくなった。雨も雷も激しくなってきて、増水しても大丈夫な位置で待機。天気の回復を待つ。

だがその時、タブレットの画面がカアッと真っ白になった。続けて、爆発音のような轟音。河に雷が落ちたんだ。

それを見たビアンカが、

「落雷位置に不定形生物がいたように見えました！」

声を上げた。アラニーズとしての感覚がそれを為したのかもしれない。

「アリアン！　前へ！　これから起こりうる事態に備えよ！！」

瞬間、久利生くりうが命じる。それに対して俺も、

「久利生くりうの指示に従え！」

と追認する。これまでに何度も空振りに終わったそれだから今回も同じく空振りに終わる可能性の方がはるかに高いだろう。しかし、千回に一回の事態に備えるのが＜安全保障＞というもののはずだ。＜防災＞というもののはずだ。だから何度だって空振りしてやる！

『シオが現れたばかりなんだからそうそう続けて現れるわけがないよな』

と考えてしまいそうになるのを振り払って。