未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

シモーヌ編 レシプロエンジン

新暦〇〇三六年五月十五日



さて、当初の予測よりは若干の遅れもありつつ、それもまあ誤差の範囲内だったことでおおむね予定通りに、＜新しい汎用工場＞が完成。稼働する。

ここではまず、石炭を輸送するためのヘリの生産が優先だ。ヘリと言っても、当然、それ自体がロボットである、

＜ロボットヘリ＞

だ。製造のための部材は、ボーキサイト鉱床脇の汎用工場で作り、それをアリアンで空輸。ホビットMk-Ⅱ達が搬入する。

目指すは＜積載量一トンの輸送用ロボットヘリ＞。積載量十五トンのアリアンに比べれば微々たるものだが、最初はそんなもので十分だろう。それ以上の輸送にはアリアンを用いれば済むし、さらにそれ以上を一度に輸送する必要が出てくれば、それこそ鉄道も視野に入れることになる。

が、そちらについてはまだまだ先だ。

なお、これから生産に入るヘリは、＜ヘリコプター＞と名付けられた回転翼機の原型そのままの物になる。主機関はバイオマス燃料を用いたレシプロエンジン。

対してアリアンは＜ブランゲッタを用いた重力制御式浮遊ヘリ＞であり、加えてバッテリーは化学反応式じゃなく＜スーパーキャパシタ＞と呼ばれるものを搭載している。スーパーキャパシタは、メイトギアにも予備バッテリーとして搭載されているキャパシタよりも桁違いの蓄電能力を持つものの十分な大きさがないと機能しないため、アリアンのような大型ヘリや、同等の大きさを持つ大型トラックにしか搭載されていない。しかしその特性上、経年劣化もほとんどなく、二千年以上が経過しても十分な性能を発揮してくれているんだ。

そんなアリアンに比べれば、レシプロエンジンを搭載した回転翼機なんて玩具おもちゃ同然のものではあっても、二十一世紀の地球程度の文明を築くのであれば十分に役に立ってくれるはずだし、何より、六十世紀の地球人社会においても、＜車輪＞や＜レシプロエンジン＞という、

＜安価で信頼性の高い技術＞

は決して廃れてはいない。街を走ってる自動車は、動力こそモーターとはいえ、しっかりとタイヤが付いた、

＜自動車らしい自動車＞

だしな。俺のローバーと同じく。

小型動力としてはモーターが最も安価で高効率ではあっても、ブランゲッタは貴重な材料が必要な上に、製造には非常に高い技術水準が求められるからモーターやレシプロエンジンに比べるとかなり高価な割に使いどころが限られることもあり、給電インフラが整ってない場所なんかで使うには結局のところ安価で信頼性が高いレシプロエンジンに頼るしかないってのも現実なんだよ。