1,692 / 2,387
第四世代
シモーヌ編 共通の思考
しおりを挟む
新暦〇〇三六年四月二十八日
そして今日、遂に<水没して流されたホビットMk-Ⅱ>を捉えることができた。それは実に、水没地点からニ十キロ以上下流だった。やはり、流木など多少の浮力があるものに引っ掛かって流され、それが何かのはずみで外れて改めて沈没した可能性が高いな。普通に水没しただけなら、精々数十メートル流される程度で収まるだろうし。
けれど今回、こうして流されてくれたからこそ、
<行方不明者の捜索のシミュレーション>
として捜索を行うことができたわけで、それはそれで有意義なことだった。
で、発見さえされればその後は順調だった。水泳部が潜ってホビットMk-Ⅱを担架に乗せ、そのまま引き上げる。単純な作業だ。
その光景を、シオもコーネリアス号で見守ってくれていた。
が、俺達やシオが見ていた画面が途端に暗くなる。天気が急に崩れてきたんだ。これも<シミュレーション>として活かすことはできるが、それはあくまで、
<救助作業中に悪天候に見舞われた時にいかに安全を確保するか? というシミュレーション>
であって、<救助を強行する方法>を探るものじゃない。今、作業をしているのはホビットMk-Ⅱだから犠牲を厭わず強行することもできるものの、人間の救助隊の場合はそうはいかない。二次被害は避けなきゃいけないからな。
そんなわけで、引き上げられたからすぐさま河から避難する。岸まで戻る途中で激しい雨が降り出し、雷も鳴り出したが、なんとか無事に岸までたどり着き、そこにテントを設営。雨を凌ぐことにする。
すると、突然、タブレットの画面がカアッと光って何も見えなくなった。直後、
「バゴラガラゴロガアアーンッッ!!」
って感じの、爆発音のような衝撃音のようなものが。
落雷だ。河に雷が落ちたんだ。距離としてはわずか十数メートルしか離れていない位置に落ち、水泳部にも誘導電流が流れ、ステータス画面が赤く染まる。
しかし、回路にダメージを与えるほどのものじゃなかったことで、すぐさま警告は消えた。いやはや、シールドを施していてよかった。じゃなきゃ過電流が流れて焼き切れていたところだ。
だが、問題はそれだけじゃない。河に落雷があったことで、俺達の頭には共通の思考がよぎっていた。
『まさか……』
シオも、これまでの資料を読み込んでいたことで察してしまって、息を呑んで画面を見守っていたそうだ。
けれど、十分ばかり様子を窺っていたがこれと言って変化もなく、今回は空振りだったようだ。
『また誰か顕現するのでは?』
という点ではな。
そして今日、遂に<水没して流されたホビットMk-Ⅱ>を捉えることができた。それは実に、水没地点からニ十キロ以上下流だった。やはり、流木など多少の浮力があるものに引っ掛かって流され、それが何かのはずみで外れて改めて沈没した可能性が高いな。普通に水没しただけなら、精々数十メートル流される程度で収まるだろうし。
けれど今回、こうして流されてくれたからこそ、
<行方不明者の捜索のシミュレーション>
として捜索を行うことができたわけで、それはそれで有意義なことだった。
で、発見さえされればその後は順調だった。水泳部が潜ってホビットMk-Ⅱを担架に乗せ、そのまま引き上げる。単純な作業だ。
その光景を、シオもコーネリアス号で見守ってくれていた。
が、俺達やシオが見ていた画面が途端に暗くなる。天気が急に崩れてきたんだ。これも<シミュレーション>として活かすことはできるが、それはあくまで、
<救助作業中に悪天候に見舞われた時にいかに安全を確保するか? というシミュレーション>
であって、<救助を強行する方法>を探るものじゃない。今、作業をしているのはホビットMk-Ⅱだから犠牲を厭わず強行することもできるものの、人間の救助隊の場合はそうはいかない。二次被害は避けなきゃいけないからな。
そんなわけで、引き上げられたからすぐさま河から避難する。岸まで戻る途中で激しい雨が降り出し、雷も鳴り出したが、なんとか無事に岸までたどり着き、そこにテントを設営。雨を凌ぐことにする。
すると、突然、タブレットの画面がカアッと光って何も見えなくなった。直後、
「バゴラガラゴロガアアーンッッ!!」
って感じの、爆発音のような衝撃音のようなものが。
落雷だ。河に雷が落ちたんだ。距離としてはわずか十数メートルしか離れていない位置に落ち、水泳部にも誘導電流が流れ、ステータス画面が赤く染まる。
しかし、回路にダメージを与えるほどのものじゃなかったことで、すぐさま警告は消えた。いやはや、シールドを施していてよかった。じゃなきゃ過電流が流れて焼き切れていたところだ。
だが、問題はそれだけじゃない。河に落雷があったことで、俺達の頭には共通の思考がよぎっていた。
『まさか……』
シオも、これまでの資料を読み込んでいたことで察してしまって、息を呑んで画面を見守っていたそうだ。
けれど、十分ばかり様子を窺っていたがこれと言って変化もなく、今回は空振りだったようだ。
『また誰か顕現するのでは?』
という点ではな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる