未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

シモーヌ編 人間であることの根拠

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新暦〇〇三六年四月二十七日



改めて言うが、地球人は長く、

『自分にとって都合の悪い相手は人間じゃない』

という甘えを捨てられずにいた。いや、実際には今なお捨てられていないだろうな。俺がまだ地球人社会にいた時にもそういうのは根強く残っていたし。

治療法もない難病に罹り怪物のように変化していく俺の妹<光莉ひかり>についても、

『そいつはもう人間じゃないから殺すべきだ!』

的なことを言う奴も実際にいたしな。

でもな。いくら、『人間に見えなくて』も、光莉ひかりは俺の血を分けた<妹>で、<人間>だったんだよ。意識も知能も失っても、人間だったんだ。だからこそ、亡くなってからも人間としてその尊厳が大切にされて、

『人間として送った』

んだ。決して『怪物の死体を処分した』んじゃない。そうだ。光莉ひかりも最後まで人間だった。<人間としての価値>が人間であることの根拠じゃない。

人間から人間として生まれた以上は人間なんだ。

だとすると、今は野生として生きているここの<獣人>達も、<人間>ということになるかもしれない。ひそかからひかりが生まれたように、ようからあかりが生まれたように、純血のパパニアンからじゅんが生まれたように、純血のマンティアンかられいが生まれたように。

だが同時に、野生で生きる獣人達には獣人達の生き方がある。となれば、ここでは特に、

『人間とは?』

という点について、慎重かつ柔軟な発想で臨まないといけないだろうな。それこそ、<知能>や<社会規範の理解度>なんかでは区別は付けられない。そんなことをしてたら、ひかりあかり以外の俺の子供達は、

<人間にとって都合が悪ければ殺されたって仕方ない動物>

になってしまう。

そのようなことはまったくもって承諾できない。地球人が俺の子供達をそんな理由で殺そうとするなら、実力をもって対抗だってする。その覚悟はある。

<生存競争>

として、な。

だからこそ、もし、遠い未来に地球人がここに降り立つことがあっても穏当にこちらの在り方を伝えられるように、しっかりとした基準は作っておかないといけないだろう。かつての地球人のように人間同士でひたすら殺し合っているようでは、とても友好的な関係を築けるとは思ってもらえないだろうしな。

しかし同時に、

『人間を人間として扱う』

というのは、決して『お人好しになる』という意味じゃない。相手が自分にとって都合の悪い振る舞いをするかもしれない可能性についてもきちんと想定し、それに備えることも含めてのものなんだ。

それを忘れちゃ、話にならない。

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