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第四世代

シモーヌ編 ロボットオートジャイロ

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新暦〇〇三六年四月六日



<ホビット製造工場>の隣に建設した<汎用工場>は、毎日、順調に様々な物品を製造してくれている。今の時点では『同一の品を大量に』という形ではなくて<多品種少量生産>になるけどな。何しろ、普通に<人間>として生きているのは、俺とシモーヌとひかりまどかひなたあかりとビアンカと久利生くりう未来みらい黎明れいあとケインとイザベラとキャサリンとルコアとシオの十数人だ。その日用品だけなら大量生産なんかする意味もない。

なので、コーネリアス号の工作室で行っていたのと同じ形で、ドーベルマンMPMの設計をベースにした汎用工作ロボットが必要に応じて物品を製造してくれている。

で、今は、<ホビット生産工場>の方で作ったホビットMk-Ⅱのコンポーネントを持ち込み、それをベースにして<ロボットオートジャイロ>を製造中だ。しかし無駄のない動きでエレクシアの設計を基に作業をすることで、二日で試作品が完成してしまった。

オートジャイロそのものは、非常に構造も単純だからな。<ジャンプ・テイクオフ機能>を持たせてなかったらそれこそ一日で完成しただろう。

そしてテストに移行する。

工場の外に出し、モーター始動。回転翼はピッチを変更できるようになっているから、まずは回転面に対して完全に水平になるようにして、動力を伝える。すると、回転面に対して完全に水平だからいくら早く回転させてもただ空を切るだけで機体を浮かせるほどの揚力は発生しない。

そのままの状態で回転を上げ、十分な速度になったら動力を切り、同時に回転翼のピッチを変更。ここで初めて強い揚力が発生。まるで竹トンボのように機体が浮かび上がる。

こうして数メートルの高さまで浮き上がったところで推進用のプロペラを回転させ、前進……と思ったら、回転翼の一枚が根元から折れて飛び、地上にいたホビットMk-Ⅱのすぐ傍の地面に突き刺さったかと思うと、オートジャイロの方は、回転翼のバランスが崩れたことでメチャクチャに機体が振られ制御不能となり、墜落。見事にバラバラになった。

「うへえ……」

俺の口から思わずそんな声が漏れ、唖然となる。

いやはや、近くに人間がいなくてよかった。まあ、そのためのロボットオートジャイロだしな。

どうやらアルミ合金製の回転翼の強度が計算通りに出ていなかったらしい。だがこれも想定の内だ。こういう不具合の洗い出しをするためのテストだし。

墜落し大破した機体は回収され詳細に調べられる。決して無駄にはならない。こういう地道なデータの積み重ねこそが技術を発展させるんだ。

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