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第四世代

シモーヌ編 アーマード・ピラルク

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水没したホビットMk-Ⅱのサルベージを行っていたホビットMk-Ⅱ水泳部仕様に、アーマード・ピラルクが急速に接近している。水中用プローブが捉えたそれは、体長約二メートル五十。最大級ではないとは言え、かなりの大きさだ。遭遇すれば人間など為す術なく捕食されるだろう。

そんな<敵>にも、ホビットMk-Ⅱは慌てない。これもまた貴重なデータとなる。

そして、この時のために装備していた<スタンガン>を使う。

まあ、スタンガンと言っても電圧そのものは本来のそれよりずっと低いが。要するに電気でビリッとさせて近寄らせないようにするためのものだ。シオを救助した時にはたとえ装備していたとしても彼女まで感電するから使えなかっただろうが、今なら問題ない。水泳部も、その程度なら防げるだけのシールドは施してある。

「!?」

強い電気刺激を受けたことで、アーマード・ピラルクがビクッと反応し、体を翻らせた。しかし、そのまま去ってくれればよかったんだが、またすぐ引き返してくる。さすがにそう甘くはないか。

なのでもう一撃。

確実に感電死させられるほどのそれだと、周囲の魚やクロコディアまで巻き添えにしてしまう可能性が高いので、あくまで強い刺激を感じる程度にしてある。だからか、向こうも諦めがつかないようだ。

スタンガンを使うたびに水泳部のカメラにもノイズが走る。それでも、アーマード・ピラルクの方も諦めない。獲物だと考えて接近してるんだろうからやはり簡単には引き下がってはくれないか。

なおも何度も退けている間に四機目のホビットMk-Ⅱを担架に固定、引き上げることに成功。撤収を開始する。すると、アーマード・ピラルクが猛然と突撃してきた。逃げられると思って焦ったのかもしれない。

さらに電撃を与えるが、今度はそれを無視したかのように突っ込んできた。

最後尾にいた水泳部のカメラがアーマード・ピラルクの姿を捉えた瞬間、ガクンッと映像が跳ねる。体当たりを食らったようだ。同時に、後右脚が機能停止したことを知らせる警報が出て、ステータス画面が一気に赤く染まる。

ハイドロジェットを全力運転させ、急いで岸に向かった。体当たりを食らった水泳部のステータスがさらに赤くなっていく。どうやら脚だけでなく本体の防水まで破れたらしい。無事な三機でその一機とホビットMk-Ⅱを乗せた担架を牽引。ようやく岸にたどり着く。

そのまま地上に上がると、さすがにアーマード・ピラルクもついに諦めてその場にとどまったのだった。

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