1,670 / 2,554
第四世代
シモーヌ編 ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様
しおりを挟む
流されてしまったか水没現場では確認できなかった一機を除いて、サルベージを開始する。
これらの作業も、ここに社会を築いていくとなればなんだかんだと必要になってくるものだろう。考えたくはないが、例えば、
『誰かが溺れて沈んだりした時に捜索する』
的な形でな。エレクシアやメイフェアがいれば彼女らに任せることもできても、人間の数が増えてくると二人だけじゃ手が回らないようになっていくだろうし。
だから、現時点で十分な数を確保できる可能性の高いホビットMk-Ⅱで対処できるようになっておく必要を感じたんだよ。で、今回のことはまさにそのための絶好のテストケースだと判断したわけだ。
そうして、五機の<ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様>が、泥が舞い上がってほとんど視界が効かない水中でも、カメラを切り替えて、大まかに状況を確認することができる波長の光を捉えてそれを基に問題なく作業を行ってくれていた。
人間は呼吸をしないといけないから危険も伴うが、ロボットは万が一の時には放棄することだってできる。そのためのロボットだという前提はありつつも、<水没したホビットMk-Ⅱ>を要救助者に見立ててシミュレーションを行う。
一緒に下ろした担架に水没したホビットMk-Ⅱを載せて固定。バルーンに繋がったワイヤーを巻き上げて水上まで持ち上げ、岸に向かって移動する。装備した小型ハイドロジェットの調子も良好だ。
だが、岸までもう少しというところで、一機の浸水警報が点きっぱなしになり、右前脚が機能を停止した。防水が破れたか。
とは言え、そういう不具合を検証することも今回の目的の一つだ。こうしてデータを蓄積し、完成度を上げていくわけだな。
しかし、やはり水中での運用というのは陸上に比べて桁違いに難しいと実感させられる。正直、一機当たりの製造コストも、標準仕様のホビットMk-Ⅱに比べて倍ほどかかることになるだろう。
ようやく水没したホビットMk-Ⅱの一機を岸に運び上げたが、水泳部仕様の一機もこれで使えなくなった。無理をすれば使えなくもないものの、水中で完全に機能停止したらそれこそ元も子もない。
なので、残り四機で三機のサルベージを続行する。
二機目、三機目は順調にいきつつも、今度は、
「接近警報。アーマード・ピラルクです」
水中用プローブからの通信を傍受したエレクシアが声を上げる。
<アーマード・ピラルク>は、地球に生息しているピラルクという魚によく似たシルエットを持ち、それでいて、<板皮類>と言われる古代魚の特徴である、
<装甲のような頑強な外骨格>
を備えた魚だった。多くは二メートルを超え、ここまで確認された一番巨大なものは三メートル強の巨体を持つ捕食者で、この台地の上の河における最上位の存在の一つだ。
それが水泳部に接近しているんだ。
これらの作業も、ここに社会を築いていくとなればなんだかんだと必要になってくるものだろう。考えたくはないが、例えば、
『誰かが溺れて沈んだりした時に捜索する』
的な形でな。エレクシアやメイフェアがいれば彼女らに任せることもできても、人間の数が増えてくると二人だけじゃ手が回らないようになっていくだろうし。
だから、現時点で十分な数を確保できる可能性の高いホビットMk-Ⅱで対処できるようになっておく必要を感じたんだよ。で、今回のことはまさにそのための絶好のテストケースだと判断したわけだ。
そうして、五機の<ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様>が、泥が舞い上がってほとんど視界が効かない水中でも、カメラを切り替えて、大まかに状況を確認することができる波長の光を捉えてそれを基に問題なく作業を行ってくれていた。
人間は呼吸をしないといけないから危険も伴うが、ロボットは万が一の時には放棄することだってできる。そのためのロボットだという前提はありつつも、<水没したホビットMk-Ⅱ>を要救助者に見立ててシミュレーションを行う。
一緒に下ろした担架に水没したホビットMk-Ⅱを載せて固定。バルーンに繋がったワイヤーを巻き上げて水上まで持ち上げ、岸に向かって移動する。装備した小型ハイドロジェットの調子も良好だ。
だが、岸までもう少しというところで、一機の浸水警報が点きっぱなしになり、右前脚が機能を停止した。防水が破れたか。
とは言え、そういう不具合を検証することも今回の目的の一つだ。こうしてデータを蓄積し、完成度を上げていくわけだな。
しかし、やはり水中での運用というのは陸上に比べて桁違いに難しいと実感させられる。正直、一機当たりの製造コストも、標準仕様のホビットMk-Ⅱに比べて倍ほどかかることになるだろう。
ようやく水没したホビットMk-Ⅱの一機を岸に運び上げたが、水泳部仕様の一機もこれで使えなくなった。無理をすれば使えなくもないものの、水中で完全に機能停止したらそれこそ元も子もない。
なので、残り四機で三機のサルベージを続行する。
二機目、三機目は順調にいきつつも、今度は、
「接近警報。アーマード・ピラルクです」
水中用プローブからの通信を傍受したエレクシアが声を上げる。
<アーマード・ピラルク>は、地球に生息しているピラルクという魚によく似たシルエットを持ち、それでいて、<板皮類>と言われる古代魚の特徴である、
<装甲のような頑強な外骨格>
を備えた魚だった。多くは二メートルを超え、ここまで確認された一番巨大なものは三メートル強の巨体を持つ捕食者で、この台地の上の河における最上位の存在の一つだ。
それが水泳部に接近しているんだ。
0
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる