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第四世代

シモーヌ編 ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様

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流されてしまったか水没現場では確認できなかった一機を除いて、サルベージを開始する。

これらの作業も、ここに社会を築いていくとなればなんだかんだと必要になってくるものだろう。考えたくはないが、例えば、

『誰かが溺れて沈んだりした時に捜索する』

的な形でな。エレクシアやメイフェアがいれば彼女らに任せることもできても、人間の数が増えてくると二人だけじゃ手が回らないようになっていくだろうし。

だから、現時点で十分な数を確保できる可能性の高いホビットMk-Ⅱで対処できるようになっておく必要を感じたんだよ。で、今回のことはまさにそのための絶好のテストケースだと判断したわけだ。

そうして、五機の<ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様>が、泥が舞い上がってほとんど視界が効かない水中でも、カメラを切り替えて、大まかに状況を確認することができる波長の光を捉えてそれを基に問題なく作業を行ってくれていた。

人間は呼吸をしないといけないから危険も伴うが、ロボットは万が一の時には放棄することだってできる。そのためのロボットだという前提はありつつも、<水没したホビットMk-Ⅱ>を要救助者に見立ててシミュレーションを行う。

一緒に下ろした担架に水没したホビットMk-Ⅱを載せて固定。バルーンに繋がったワイヤーを巻き上げて水上まで持ち上げ、岸に向かって移動する。装備した小型ハイドロジェットの調子も良好だ。

だが、岸までもう少しというところで、一機の浸水警報が点きっぱなしになり、右前脚が機能を停止した。防水が破れたか。

とは言え、そういう不具合を検証することも今回の目的の一つだ。こうしてデータを蓄積し、完成度を上げていくわけだな。

しかし、やはり水中での運用というのは陸上に比べて桁違いに難しいと実感させられる。正直、一機当たりの製造コストも、標準仕様のホビットMk-Ⅱに比べて倍ほどかかることになるだろう。

ようやく水没したホビットMk-Ⅱの一機を岸に運び上げたが、水泳部仕様の一機もこれで使えなくなった。無理をすれば使えなくもないものの、水中で完全に機能停止したらそれこそ元も子もない。

なので、残り四機で三機のサルベージを続行する。

二機目、三機目は順調にいきつつも、今度は、

「接近警報。アーマード・ピラルクです」

水中用プローブからの通信を傍受したエレクシアが声を上げる。

<アーマード・ピラルク>は、地球に生息しているピラルクという魚によく似たシルエットを持ち、それでいて、<板皮類>と言われる古代魚の特徴である、

<装甲のような頑強な外骨格>

を備えた魚だった。多くは二メートルを超え、ここまで確認された一番巨大なものは三メートル強の巨体を持つ捕食者プレデターで、この台地の上の河における最上位の存在の一つだ。

それが水泳部に接近しているんだ。

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