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第四世代

シモーヌ編 サルベージ

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新暦〇〇三六年三月三十日



シオの方は、現れた当日と翌日は落ち込んだ様子だったものの、セシリアにこちらで保管している絵本を次々とデータ化してもらってコーネリアス号の工作室で複製、結果として三十冊を彼女に届けた。それらを一日かけて読みふけったことでいろいろ吹っ切れたのか、シオは俺達がここで蓄えてきたデータを片っ端からチェックして、この世界を理解しようと切り替えられたようだ。

さすがは<秋嶋あきしまシモーヌ>、大したものだよ。

それでも、まだまだ見守っていく必要はあるだろう。だからそちらについては覚悟するとして、ホビットMk-Ⅱの水泳部仕様が、コーネリアス号の工作室で完成した。ボーキサイト鉱床脇の<ホビットMk-Ⅱ工場>の方はそれを作れる設備じゃなかったからな。

まずは五機のホビットMk-Ⅱ水泳部仕様をアリアンで輸送。シオを救助するためにホビットMk-Ⅱらが水没した現場へと向かった。テストを兼ねてサルベージを試みようと思う。なんか、さすがにそのままにしておくのは忍びなかったし。

そこでまず河岸にホビットMk-Ⅱ水泳部仕様を下ろし、浮力を確保するために追加装備されたバルーンを展開。動作を確認する。これはバルーンの部分だけを水上に残したままワイヤーを伸ばしてホビットMk-Ⅱ水泳部仕様の本体は完全に水中に没し、水中での作業を可能にするものだった。

さらにホビットMk-Ⅱ水泳部仕様には、水中用のプローブも搭載してある。こうして河岸で最終チェックを行い、いよいよ河へと入って行く、

ノーマルのホビットMk-Ⅱは河に入ってすぐに浸水を知らせるアラームが点灯したが、こちらはほとんど問題なかった。一部で浸水を知らせるアラームが点灯したり消えたりしたりもしつつ、正常に機能は続けてくれた。

そこで水中用プローブを切り離し、河底に沈んでいるであろう五機のホビットMk-Ⅱを捜索する。

「一機を捉えました」

データを受信しているエレクシアがそう告げる。続けて、

「二機目、三機目も確認」

彼女が言うように、プローブが沈んでいるホビットMk-Ⅱに取り付いてまぎれもなくそれであることを確認。位置を示すマーカーを発信する。

「四機目も確認しました」

四機目は、水没地点から二十メートルほど離れた位置にあった。流されかけたということなんだろう。そして五機目は、

「周囲、半径五十メートルを検索しましたが、確認できません」

とのこと。

「流されたか……仕方ない。取り敢えずその四機をサルベージしよう」

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