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第四世代
シモーヌ編 光
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こうしてシオは、アリアンに乗って俺達の集落からほど近い河の岸に、メイフェアと一緒にワイヤーで降下して、ローバーで迎えに行った俺達と合流した。
だが、その時の俺とシモーヌの様子を見て察したものがあったのか、シオは、
「……もしかして、二人は結婚とかしてる?」
シモーヌにそう訊いていた。するとシモーヌも、
「うん。今、彼の赤ちゃんもお腹にいる」
正直にそう応えた。しかしその瞬間に、シオの顔に明らかな嫌悪感が浮かんだのを俺は見逃さなかった。無理もない。彼女にとっての<パートナー>は、
<十枚アレクセイ>
のはずだからな。娘<瑠衣>までもうけた。
シオが自分を軽蔑するような目で見たことにシモーヌも気付いていて、ローバーに乗って集落に戻る間に、
「その辺りについても、あとでゆっくり話すから。ただ、二十年以上一緒に暮らしてるとね。彼のことも魅力的に見えてきたんだよ」
とシオに語ってみせた。それ対してシオも、
「まあ、二十年も経てば分からないでもないけど……」
とは応えてくれた。納得はしてなかったみたいだけどな。
この辺り、人間は<感情の動物>だし、シオの反応も無理はないさ。だからこそシモーヌも俺との結婚に踏み切るまでに二十年以上かかったわけで。
で、それに比べるとまだ大した問題じゃないのかもしれないが、他にも片を付けておかないといけない話もある。
そして集落に戻り、
「初めまして。私は錬是の娘で、光です。こっちは私の子供達で、和と陽。そしてこの子は麗。わけあってうちで保護しています」
光が俺の代わりに丁寧に対応してくれた。もういつでも俺の後を継げそうだ。
「初めまして。私は秋嶋シモーヌ。シオと呼んでください」
コーネリアス号で着替えた服に身を包んだシオが光と握手する。『錬是の娘』とは聞いたものの明らかに三十代くらいの光を見て、俺とシモーヌの子ではないと察したようだ。シモーヌが現れてからは三十年近いものの俺と結婚してからはまだ五年余りだから明らかに整合性がないしな。その辺りもすぐに気付ける優秀な女性だというのを改めて実感する。
なお、一見しただけならもう二十歳近くにも見える和や陽が<光の子供>ということについては、老化抑制処置が当たり前だった世界で生きていたことで特に違和感も覚えなかったようだ。
それから光は軽く食事を用意してくれていて、
「お口に合えばいいのですが」
シオをテーブルに招いた。シモーヌも、
「とにかく話さないといけないことは山ほどあるから、ゆっくり食事をしながらね」
と促す。
「そうね。まずは分かってる範囲の情報を仕入れてからじゃないと、判断もできないからね」
そう言ったシオの様子は、まだ少し硬さがあったと思う。けれど、光が、
「これは、あなたからお借りしていた絵本です。シオが返還を求めるのであればお返しします」
と言いながら<シモーヌの絵本>を差し出すと、
「大事に読んでくれてたんだね……」
ややくたびれた印象もありつつ、酷く傷んでいるわけでもない絵本を見て、ふっと表情が和らいだのだった。
だが、その時の俺とシモーヌの様子を見て察したものがあったのか、シオは、
「……もしかして、二人は結婚とかしてる?」
シモーヌにそう訊いていた。するとシモーヌも、
「うん。今、彼の赤ちゃんもお腹にいる」
正直にそう応えた。しかしその瞬間に、シオの顔に明らかな嫌悪感が浮かんだのを俺は見逃さなかった。無理もない。彼女にとっての<パートナー>は、
<十枚アレクセイ>
のはずだからな。娘<瑠衣>までもうけた。
シオが自分を軽蔑するような目で見たことにシモーヌも気付いていて、ローバーに乗って集落に戻る間に、
「その辺りについても、あとでゆっくり話すから。ただ、二十年以上一緒に暮らしてるとね。彼のことも魅力的に見えてきたんだよ」
とシオに語ってみせた。それ対してシオも、
「まあ、二十年も経てば分からないでもないけど……」
とは応えてくれた。納得はしてなかったみたいだけどな。
この辺り、人間は<感情の動物>だし、シオの反応も無理はないさ。だからこそシモーヌも俺との結婚に踏み切るまでに二十年以上かかったわけで。
で、それに比べるとまだ大した問題じゃないのかもしれないが、他にも片を付けておかないといけない話もある。
そして集落に戻り、
「初めまして。私は錬是の娘で、光です。こっちは私の子供達で、和と陽。そしてこの子は麗。わけあってうちで保護しています」
光が俺の代わりに丁寧に対応してくれた。もういつでも俺の後を継げそうだ。
「初めまして。私は秋嶋シモーヌ。シオと呼んでください」
コーネリアス号で着替えた服に身を包んだシオが光と握手する。『錬是の娘』とは聞いたものの明らかに三十代くらいの光を見て、俺とシモーヌの子ではないと察したようだ。シモーヌが現れてからは三十年近いものの俺と結婚してからはまだ五年余りだから明らかに整合性がないしな。その辺りもすぐに気付ける優秀な女性だというのを改めて実感する。
なお、一見しただけならもう二十歳近くにも見える和や陽が<光の子供>ということについては、老化抑制処置が当たり前だった世界で生きていたことで特に違和感も覚えなかったようだ。
それから光は軽く食事を用意してくれていて、
「お口に合えばいいのですが」
シオをテーブルに招いた。シモーヌも、
「とにかく話さないといけないことは山ほどあるから、ゆっくり食事をしながらね」
と促す。
「そうね。まずは分かってる範囲の情報を仕入れてからじゃないと、判断もできないからね」
そう言ったシオの様子は、まだ少し硬さがあったと思う。けれど、光が、
「これは、あなたからお借りしていた絵本です。シオが返還を求めるのであればお返しします」
と言いながら<シモーヌの絵本>を差し出すと、
「大事に読んでくれてたんだね……」
ややくたびれた印象もありつつ、酷く傷んでいるわけでもない絵本を見て、ふっと表情が和らいだのだった。
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