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第四世代

シモーヌ編 同じ判断

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ボーキサイト鉱床の脇に作られた<ホビットMk-Ⅱ生産工場>では、一日一機のペースでホビットMk-Ⅱが生産されていた。だからすでに三十機以上のホビットMk-Ⅱが生産され、工場周辺で様々な仕事をこなしてくれている。特に、様々な物品を生産する工場も新たに建設することになったんだが、そのための整地作業とかが主な仕事だな。

で、失われた十機を補填するために十機を<新しいダミー集落>へと派遣することを、<新しい秋嶋シモーヌのコピー>が空港に到着し、迎えのローバーに乗ってもらってコーネリアス号に向かってる最中には決定。アリアンを工場に向かわせ、輸送してもらうことになった。

この辺りは、俺が一人で判断できるからすぐに決められる。社会として成立し始めると諸々手続きが必要になってきてこんな簡単には決められなくなっていくんだろうな。

アリアンはロボットだから疲れることもないし休めなくても気にしないんだけどな。メンテナンスもことが終わってからすればいいし、今日はここまでまだ二時間も稼働してない。

また、今回のような水中での運用がないとも限らないので、今後、防水機能を向上させた<ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様>も用意しようと思った。

ところで、地球人社会においては、水中での運用を前提とした仕様のロボットのことは俗に<水泳部>と呼ばれてるんだが、誰が言い出したんだろうな。これ。でもまあ、ニュアンスとして分かりやすいから定着したんだろうし、別にどうでもいいが。

とまあ、<新しい秋嶋シモーヌのコピー>の件と同時進行で様々なことが動き始める。

さらに、ちょうどメンテナンスの時期だったこともあって、ホビットMk-Ⅱを輸送した後でアリアンに迎えに来てもらって、セシリアとメイフェアをコーネリアス号に送ってもらおうということになった。<新しい秋嶋シモーヌのコピー>のフォローもしてもらうためにな。

れいの子のメイについては、イレーネがいれば取り敢えずは大丈夫だし、こちらのシモーヌも今のところは自分でできるから問題ないだろう。

ところで、

「またシモーヌが……?」

「可能性としてはあるのは分かってたけど、それが現実になるとなんか複雑な気分ですね……」

久利生くりうとビアンカにも事情を告げると、二人とも神妙な顔つきに。対してあかりは、

「んじゃ、久利生くりうがもう一人現れてくれたら私とビアンカとで分けられるじゃーん♡」

笑顔で言った。これはまあジョークだというのは分かってるんだが、実際にはそう簡単なことじゃない。いくら<同じ人格>と<同じ性格>と<同じ記憶>を持っているとはいえ、必ずしも同じ判断をするとは限らないんだよな。

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