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第四世代
玲編 その子の名前は
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そうして玲が光莉号の医務室に入ってから三時間、
「生まれました。二三三〇グラム。男の子です。母子ともに健康」
セシリアのカメラ映像と音声がタブレットに届く。
「びゃあ、びゃあ!」
という泣き声と共に。なるほど確かに健康そうな男の子だ。そして、外見は地球人そのものでもある。
「ああ、よかった。玲に『お疲れ様』と伝えておいてくれ」
俺はホッとしつつそう告げた。
「よかったね。ひいお祖父ちゃん♡」
シモーヌが少し悪戯っぽい感じでそんなことを。
「ははは。そうだな」
俺も頭を掻きながら応えて、改めて刃の墓に向き直り、赤ん坊の姿が映し出されたタブレットを掲げて、
「どうだ? 刃の曾孫だぞ。見た目はあれだが、まぎれもなく刃の曾孫だ」
と報告する。
「よかったね、お父さん」
光が口にし、
「赤ちゃん生まれた!? やったあ♡」
「おめでとー!」
和と陽が声を上げて、
「うおっしゃあ! でかした、玲!」
「おめでとう」
「頑張ったね、玲」
「おめでとうございます」
灯と久利生とビアンカとルコアもお祝いの言葉を送ってくれた。
本当に素晴らしい、自慢の家族であり仲間達だよ。
そしてこうして新しい命を迎えるからこそ、明の死とも向き合える。ありがとう、玲。
で、ここで赤ん坊が生まれたとなるとさすがに名前を考えなきゃいけないところだが、さて、俺が勝手に決めていいものかどうか……
などと考えてると、
「……メイ……」
と、誰かの声が……
って、……え? まさか……?
まさかと思ってタブレットに目をやると、
「玲様が、<メイ>がいいとおっしゃっています」
セシリアが伝えてきた。その上で、さすがに少し疲れた様子の玲が、
「メイ、が…いい……」
だと。
これまでほとんど口を利いたことのなかった玲が、そう言ったんだ。
彼女が言うなら、是非もない。
「分かった。その子の名前は<メイ>だ」
明の名が、玲も気に入っていたのかもしれない。だからその名を我が子につけたかったのかもな。
男の子なのに<メイ>じゃちょっと違和感もあるとしても、ここじゃ別に拘る必要もない。だから、メイでいい。
「ようこそ、俺達の群れへ。歓迎するぞ、メイ」
タブレットに向かってそういった後、
「刃、曾孫の名前は<メイ>だ。よろしく見守ってやってくれ」
墓に向き直ってそう頼んだ。
純血のマンティアンでありながら、玲に続いて地球人そのものの姿を持って生まれたメイ。どういう生き方をするのかはまだまだ未知数でも、それは問題じゃない。元気に育ってくれたらそれでいいんだ。
『明も、メイを見守ってやってほしい』
「生まれました。二三三〇グラム。男の子です。母子ともに健康」
セシリアのカメラ映像と音声がタブレットに届く。
「びゃあ、びゃあ!」
という泣き声と共に。なるほど確かに健康そうな男の子だ。そして、外見は地球人そのものでもある。
「ああ、よかった。玲に『お疲れ様』と伝えておいてくれ」
俺はホッとしつつそう告げた。
「よかったね。ひいお祖父ちゃん♡」
シモーヌが少し悪戯っぽい感じでそんなことを。
「ははは。そうだな」
俺も頭を掻きながら応えて、改めて刃の墓に向き直り、赤ん坊の姿が映し出されたタブレットを掲げて、
「どうだ? 刃の曾孫だぞ。見た目はあれだが、まぎれもなく刃の曾孫だ」
と報告する。
「よかったね、お父さん」
光が口にし、
「赤ちゃん生まれた!? やったあ♡」
「おめでとー!」
和と陽が声を上げて、
「うおっしゃあ! でかした、玲!」
「おめでとう」
「頑張ったね、玲」
「おめでとうございます」
灯と久利生とビアンカとルコアもお祝いの言葉を送ってくれた。
本当に素晴らしい、自慢の家族であり仲間達だよ。
そしてこうして新しい命を迎えるからこそ、明の死とも向き合える。ありがとう、玲。
で、ここで赤ん坊が生まれたとなるとさすがに名前を考えなきゃいけないところだが、さて、俺が勝手に決めていいものかどうか……
などと考えてると、
「……メイ……」
と、誰かの声が……
って、……え? まさか……?
まさかと思ってタブレットに目をやると、
「玲様が、<メイ>がいいとおっしゃっています」
セシリアが伝えてきた。その上で、さすがに少し疲れた様子の玲が、
「メイ、が…いい……」
だと。
これまでほとんど口を利いたことのなかった玲が、そう言ったんだ。
彼女が言うなら、是非もない。
「分かった。その子の名前は<メイ>だ」
明の名が、玲も気に入っていたのかもしれない。だからその名を我が子につけたかったのかもな。
男の子なのに<メイ>じゃちょっと違和感もあるとしても、ここじゃ別に拘る必要もない。だから、メイでいい。
「ようこそ、俺達の群れへ。歓迎するぞ、メイ」
タブレットに向かってそういった後、
「刃、曾孫の名前は<メイ>だ。よろしく見守ってやってくれ」
墓に向き直ってそう頼んだ。
純血のマンティアンでありながら、玲に続いて地球人そのものの姿を持って生まれたメイ。どういう生き方をするのかはまだまだ未知数でも、それは問題じゃない。元気に育ってくれたらそれでいいんだ。
『明も、メイを見守ってやってほしい』
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