未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

玲編 親不孝

新暦〇〇三五年十一月十日



子供が親より先に逝くのは、親不孝だという。

だが俺は、そうは感じていない。こんな世界に俺の勝手で生み出した子の生涯を見届けられたことは、むしろ確実に幸いだった。明めいが自身の人生をまっとうできたのを確認できたんだ。喜ぶべきことだろ……

でも……

でも、寂しいな……切ないな……我が子を見送るというのは……

安心するのと同時に、やっぱり悲しいよ……

明めい……

だが、明めいが息を引き取ったのと入れ替わるように、玲れいが回復、治療カプセルから出ることができた。首筋には少し傷跡が残ってしまったもののそれを気にする者はここにはいない。

そして、明めいが亡くなったことを告げると、

「……」

ただ黙って目を伏せて、そのまま鋭えいの部屋へと入ってしまった。それが彼女なりの悲しみの表現だったようだ。

むしろ、実の息子の鋭えいの方が平然としていたな。まあそうか。野生の生き物に近いもんな。鋭えいには玲れいを受け止めてもらえればそれでいい。

また、このところまったく触れる機会がなかった深しんも、異母妹である明めいが亡くなったことを知ってか知らずか、相変わらず部屋の中でごろごろしているだけだった。トイレの時と食事の時しか出てこない。それ以外はずっとぐうたらしている。まあこれは、母親の伏ふくもそうだったし、走そうや凱かいや凛りんもそうだから、そういうものなんだろう。

さらに、焔ほむらと彩さいも、特に気にしている様子もない。二人にとっては異母姉であるものの、明めいが巣立ってからはそれこそ交流もなかったし、当然か。

そして剛ごうが亡くなった時には涙も見せた和まどかと陽ひなたも、タブレット越しに手を合わせたものの、泣くところまではいかなかった。こちらも交流はほとんどなかった上に、駿しゅん達の様子の方がよく見てたしな。

＜最近になって頻繁に顔を見せるようになっただけの叔母＞

だったわけで、それでいい。

そんな家族の様子を見ていると、俺自身、気がまぎれるというのもある。娘の死にばかり構っていられないというのも事実だ。

それに、灯あかりの子と玲れいの子を迎えることになるからな。曾孫まで次々生まれてるところに、娘である灯あかりの子は当然、俺にとっては＜孫＞であり、同時に、俺の孫である鋭えいの子を宿した玲れいが生むのは、まさしく＜曾孫＞なわけだ。

加えて、明めいにとっては初孫だったわけだが、それを見ることなく逝ったのは残念でも、マンティアンにとっては、

＜巣立った子が生んだ孫＞

なんてほぼ他人だし、下手すりゃ襲われたっておかしくない。明めいは、共食いはしなかったから大丈夫だとは思いつつ、万が一があっても嫌だから、これでいいんだろう。