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第四世代

玲編 マンマ

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そんな感じで、イザベラは未来みらいのことが気に入ったようだ。それもあってか、以前よりは表情が柔らかくなった。そして、

「ミライ!」

と、未来みらいの名前だけはちゃんと呼ぶ。他は、

「アカー!」

「クリー!」

「ビアー!」

「ルコー!」

って呼ぶのにな。

一方、キャサリンの<脱走癖>は相変わらずだ。ただ、家族に対しては攻撃的な様子は見せない。だから本気で脱走するつもりはなくて、甘えてるだけなんだろう。構ってほしいんだ。イザベラが主に未来みらいに甘えるのに対して、キャサリンは家族全員に甘えてる感じかな。

脱走しようとして回り込まれて、手を差し伸べると素直に抱かれて。それが、あかり久利生くりうやビアンカやルコアだけじゃなく、モニカやハートマンやテレジアやグレイ、さらにはドーベルマンMPMに対してもだ。彼女にとってはもう、同じ<家族>なんだろう。

どちらもなかなか気性の激しいところがありそうだったのに、可愛いところもあるんだよ。

そしてケインはと言えば、こちらもまた相変わらずでビアンカにべったりだ。彼女の背中に乗ったままほとんど動こうとしない。

それでも、普通に立ってるだけでも一メートル五十ほどある彼女の本体側の背に一跳びで乗ってみせるところを見ると、素の身体能力はやはり侮りがたいものがあるんだと思う。しかも逃げ足が速い。パニックを起こすと家の中の壁と言わず天井と言わず走り回ったりもするしな。実はイザベラもキャサリンも、<壁走り>まではできるんだが、その勢いのまま天井まで走るところまではいかない。それができるのはケインだけだ。

さしずめ<韋駄天>ってところか。

そんな感じでいよいよ三者三様の個性が見え始めている気がする。

さらに黎明れいあも順調に育っていて、実年齢はまだ十一ヶ月弱なものの見た目には二歳半ばって感じにも見える。しかも、

「マンマ……」

ビアンカを見てそう口にしたんだ。

「あああああ……! ママ…! ママって……!」

メロメロになってるビアンカには悪いが、本当に『ママ』と呼んだのかどうかは微妙なところではあるかな。今の時点では。さりとて、『マンマ』と発音できるようになったのなら、それこそもうちゃんと『ママ』と呼んでくれるようになるのもすぐだろう。

離乳食も順調に進んで、おっぱいもそろそろ自主的に卒業らしい。ミルクは飲むんだが、やっぱり母乳は哺乳瓶で飲むミルクほどは勢いよく出ないらしくて、飲むのが面倒臭くなったのかもしれない。

赤ん坊がおっぱいを飲みたがるのは、食事というだけでなく母親に対して甘えたいという気持ちの表れでもあると聞くものの、母親のビアンカだけでなく、父親の久利生くりうや、もう一人の母親のようなあかりや、血の繋がらない姉といった存在のルコアや、異母兄の未来みらいにもしっかり愛されている実感があって、満たされているんだろうな。

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