上 下
1,608 / 2,387
第四世代

玲編 ダミーの集落

しおりを挟む
新暦〇〇三五年十月十八日



本来、アリゼドラゼ村も、アリニドラニ村も、アカトキツユ村も、<俺達の集落>を、きょうみずちがく夷嶽いがく牙斬がざんばんと戦ったヒト蛇ラミアといった<怪物>から守るための<ダミーの村>として用意したはずのものだった。なのに実際に住人ができてしまったので、さらにそれを守る必要が出てきてしまった。

とは言え、牙斬がざんがビアンカを襲わなかったことや、ルコアは未来みらいを庇ったことで負傷したもののルコアそのものを狙っていたわけじゃない様子から、<人間>の姿をしている者以外については明確には攻撃対象じゃなさそうなので、その分はまだ安全なのかもしれない。

さりとて、きょうみずちがくばんと戦ったヒト蛇ラミアについては、割と手当たり次第に襲っている様子だったのも事実のため、

『人間と比べれば狙われる確率は低くなる可能性がある』

というだけで、必ずしも安全とは限らないけどな。

だからさらに<ダミーの集落>が必要になってきた。それは同時に、さらにロボットが必要になってきたということでもある。

で、コーネリアス号にて改良に改良を加えてきた、

<ホビットMk-Ⅰ>

の出番ということだ。

というのも、運用しデータを蓄積しては改良を加えていくという地道な作業を一年半ほど続けたおかげで、今では日常の作業についてはだいたい行えるようになってきたんだ。機体もほとんどが超々ジュラルミンをはじめとしたアルミ合金と代用プラスチックに置き換わり、以前のように一日に何度も転ぶこともすっかりなくなったんだ。

そんなホビットMk-Ⅰをベースに<ホビットMk-Ⅱ>を制作。量産を開始していた。

そしていよいよ今日、ホビットMk-Ⅱ二十機をアリアンで輸送。アカトキツユ村の南西五キロに位置する<集落建設候補地>の一つへと下ろす。

今回は、

『ホビットMk-Ⅱだけで集落の開墾及び建設は可能か?』

ということを検証するために派遣した。それはもちろん、<ダミー集落の建設>も兼ねてのことである。

今日もめいひかりに絵本を読んでもらっていて、それをれいえいも聞いている。なお、萌花ほのかが昼寝している間に絵本を読むようにしてるが、しかし寝てくれない時などにはじゅんとイレーネに萌花ほのかを見てもらってる。

これによりゆっくりと絵本の朗読ができるんだ。

それをBGMに、アリアンからホビットMk-Ⅱニ十機が収納されたコンテナが下ろされるのをタブレット越しに見守る。さらにここには、野菜くずや村々の開墾時に伐採した木や刈り取った雑草を材料にしたバイオマス燃料を使った小型火力発電所も建設することにしている。

各々の村での電源確保は重要な課題だしな。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】Fragment

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:335

病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

SF / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:529

いまさら好きだと言われても、私たち先日離婚したばかりですが。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:563

どうやら、我慢する必要はなかったみたいです。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,032pt お気に入り:3,039

世界⇔異世界 THERE AND BACK!!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:307

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:1,291

婚約破棄 ~ガチでやられると結構キツい~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:4,522

処理中です...