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第四世代
玲編 概念
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新暦〇〇三五年十月七日
そうだ。
『密が認知症を発症するまで生きながらえさせたことが果たして正しかったのかどうか』
なんてのは、結局、人間が勝手にそれを『正しい』か『正しくないか』で判断しようとしてるだけに過ぎない。たぶん、密自身は、たとえどうなろうとも自分の命が尽きるまで生き続けようとしてただけだと思う。
密自身は、『正しい』とか『正しくないか』なんて考えてなかったと思うんだ。
俺が勝手にそれを思い悩んでるだけで。
だから明についても、彼女の命が尽きるまで、ただ付き合おうと考えてる。光にも言われたとおり、俺には子供達の命を見届ける義務があると感じてる。
明が認知症を発症したとしても、それも含めて受け止めなきゃな……
まあ、<介護>についちゃ、エレクシアもイレーネもセシリアもドーベルマンDK-aもいるから、心配はしてないが。ロボットはそのために存在するんだし。
<エゴ>云々の話はもう結論が出てる。
『俺は<エゴ>を貫かせてもらう』
ってことでな。今さらそれを懊悩するつもりもない。光はそれこそ、俺よりよっぽど割り切ってるよ。
「明が『絵本を読んでほしい』って言うのなら、私はいつまでだって付き合うよ」
と言ってくれる。まあそれも、<明に絵本を読み聞かせる手間>が掛けられるだけ、それ以外の雑務をエレクシアとイレーネとセシリアとドーベルマンDK-aが受け持ってくれてるから言えることだってのも事実だけどな。
『自分達の努力だけでそれを乗り切ってる』
とは言わないさ。だから<努力>って言葉で誰かを殴ろうとも思わない。手を抜けるところは手を抜いてるのは確かなんだ。<努力>というものを、
<誰かを殴ってマウントを取るための概念>
にするつもりもない。努力するかどうかはあくまで本人の問題だ。努力しなかったことで目的を達成できなかったのならそれは当然の帰結だし、その一方で、努力さえすれば必ず願いは叶うなんて<夢物語>を語るつもりもない。
努力しなければ願いはまず叶わないが、努力したという事実は望む結果を掴めることを保障はしてくれない。
その現実と向き合うことが必要だよな。その現実と向き合える自分であることが必要なんだ。
じゃなきゃ、自身の望みや願いが叶わないことを誰かや何かの所為にせずにいられないだろう。そういう奴が結局、
『誰かを攻撃することでしか自分のストレスに対処できない』
ようになるんだろうしな。
そんなことをしててこの平穏が守れるか。
そうだ。
『密が認知症を発症するまで生きながらえさせたことが果たして正しかったのかどうか』
なんてのは、結局、人間が勝手にそれを『正しい』か『正しくないか』で判断しようとしてるだけに過ぎない。たぶん、密自身は、たとえどうなろうとも自分の命が尽きるまで生き続けようとしてただけだと思う。
密自身は、『正しい』とか『正しくないか』なんて考えてなかったと思うんだ。
俺が勝手にそれを思い悩んでるだけで。
だから明についても、彼女の命が尽きるまで、ただ付き合おうと考えてる。光にも言われたとおり、俺には子供達の命を見届ける義務があると感じてる。
明が認知症を発症したとしても、それも含めて受け止めなきゃな……
まあ、<介護>についちゃ、エレクシアもイレーネもセシリアもドーベルマンDK-aもいるから、心配はしてないが。ロボットはそのために存在するんだし。
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ってことでな。今さらそれを懊悩するつもりもない。光はそれこそ、俺よりよっぽど割り切ってるよ。
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その現実と向き合うことが必要だよな。その現実と向き合える自分であることが必要なんだ。
じゃなきゃ、自身の望みや願いが叶わないことを誰かや何かの所為にせずにいられないだろう。そういう奴が結局、
『誰かを攻撃することでしか自分のストレスに対処できない』
ようになるんだろうしな。
そんなことをしててこの平穏が守れるか。
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