未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

玲編 連戦

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そうして<昆虫型の獣>の鉤爪から逃れた猪竜シシは、地面に降り立ったそいつに反撃に転じた。避けた皮膚から血を流しながらも動きはまったく衰えることなく、鱗が重なり鈍器のようになった頭を叩きつけようとした。猪竜シシの最強の一撃だ。これが完璧に決まると、マンティアンでさえ怯むし、ボクサー竜ボクサー程度なら一撃で内臓が破裂し死に至ることさえある。

生身の地球人など、それこそひとたまりもない。

なのに、<昆虫型の獣>は、まるでカブトムシなどの甲虫のように羽を広げ、飛び上がった。いや、『跳び上がった』か? 完全な<飛行>ではなかったんだ。おそらく体が重すぎて跳べないのだろう。しかし脚の力と合わせて体を空中高く跳び上がらせることはできるようだ。

けれど、猪竜シシも負けていない。空中に跳び上がった<昆虫型の獣>を追いかけるように地面を蹴って跳び上がり、腹目掛けて牙を突き上げてみせた。

が、残念ながら今回も届かなかった。以前、ばんと対峙した猪竜シシが同じようなことをしたが、その時にも十分なダメージを与えられなかったな。

思いきり跳び上がったことで体が伸び切り、しかも加減を考えなかったのか猪竜シシの体は反転し、

「ブギャッ!!」

と声を上げながら頭から地面に落ちた。そしてその隙を、<昆虫型の獣>は見逃してはくれなかった。

猪竜シシが態勢を立て直す前に覆いかぶさるようにして捕らえ、さらにまるでビル解体用の重機が使う巨大なハサミのような顎で猪竜シシの喉に食らい付き、

バギッ!!

と音を立てて首の骨を噛み砕いてしまう。勝敗はそこで決した。

「ギュエッ! ギュ……ッ!!」

首の骨を砕かれた猪竜シシは呻き声を上げつつ体を痙攣させ、息絶えたのだった。

だが、<昆虫型の獣>は、警戒を解こうとはしなかった。何しろその視線の先にいたのは、龍準りゅうじゅんだったのだ。猪竜シシを屠った後、そのまま休むことなく龍準りゅうじゅんとの戦いとなった。

すると龍準りゅうじゅんは鎌を繰り出して、<昆虫型の獣>を捉える。が、どうやら<昆虫型の獣>の外皮もマンティアンのそれと同じく<天然の装甲>になっているらしく、ダメージを与えられなかった。普通の獣なら確実にこれだけでもダメージになるんだがな。

その事実を龍準りゅうじゅんもすぐに察したらしく、<蹴り>による打撃に瞬時に切り替えてきた。

この辺りのセンスも圧倒的だろう。しかし、<昆虫型の獣>も半端じゃなかった。再びカブトムシ辺りの甲虫を思わせる羽を広げて空中で姿勢を変え、躱してみせたんだ。

どうやら、その羽は、跳躍のためだけでなく、空中での姿勢制御などにも利用しているらしい。

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