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第四世代
玲編 その命の主役
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新暦〇〇三五年九月二十二日
今日また、龍準に埋め込まれたチップの信号が捉えられた。誉達の縄張りの近くではあったものの、まだ入っては来ていない。
しかし念のため、ドローンを派遣。確認を行う。と、そのドローンのカメラが異様なものを捉えた。
いや、俺達にとってはむしろ<見慣れたもの>と言った方がいいかもしれない。何しろ、明らかに<透明な体を持った怪物>だったんだからな。
全長約一メートル五十。一見すると<ヒト蜘蛛の本体>にも見えるが、<人間のようにも見える部分>がなかった。
そう、見た目だけなら<ただの昆虫>にも見える動物だったんだ。
「グンタイ竜の女王やヒト蜘蛛やアラニーズがいるなら、なるほど昆虫ベースのが他にもいてもおかしくないよな」
「そうね。むしろこれまでグンタイ竜の女王やヒト蜘蛛やビアンカ以外の例がなかったのが不思議なくらい」
そういうことだ。グンタイ竜の女王や最初のヒト蜘蛛やビアンカのように昆虫と哺乳類を掛け合わせたかのような生き物が存在するのなら、同様のそれがいても何も不思議じゃない。おそらく今回の奴が、その一つなんだろう。
昆虫は普通、あまり体が大きくなると、その構造上、動くことができなくなるらしい。小さいからこそ効率よく自らを維持し活動がしやすい仕組みを持っているそうだ。
だからグンタイ竜の女王やヒト蜘蛛もアラニーズも、ただ昆虫としての構造ではなく、内骨格を持ち循環系を持ち、同時に外骨格でも体を支えることで強靭な肉体を得ているんだ。なので当然、今回の奴も同じだろう。実際、猪竜を目の前にして怯むことなく襲い掛かった。
「早い!?」
思わず声に出してしまう。と言うか、カメラが一瞬、追いつけなかった。ヒト蜘蛛やビアンカに勝るとも劣らない動きだ。むしろ小さい分だけ素早いかもしれない。
猪竜も、決して鈍重な獣じゃない。見た目にはブタのようでも、そもそもブタだって、食肉用の家畜としてわざと太らされているから筋力に比べて体重が多すぎるだけで、元々は鈍いわけでもない。
実際、この時の猪竜も、反応はしてみせた。反応して躱そうとしたんだ。なのに、<昆虫型の獣>の脚の先がそれこそ鉤爪状になっていたことで、しかもかなり前足が長くリーチが大きかったことで、躱しきれず、捕らえられてしまった。
しまったが、猪竜だって別に<やられ役のザコ>じゃない。それぞれ己の命を懸命に生きている、
<その命の主役>
なんだよ。だから生き延びるために、自身の肉に食い込んだ鉤爪を、己の身が裂けることも厭わずに引きはがしたのだった。
今日また、龍準に埋め込まれたチップの信号が捉えられた。誉達の縄張りの近くではあったものの、まだ入っては来ていない。
しかし念のため、ドローンを派遣。確認を行う。と、そのドローンのカメラが異様なものを捉えた。
いや、俺達にとってはむしろ<見慣れたもの>と言った方がいいかもしれない。何しろ、明らかに<透明な体を持った怪物>だったんだからな。
全長約一メートル五十。一見すると<ヒト蜘蛛の本体>にも見えるが、<人間のようにも見える部分>がなかった。
そう、見た目だけなら<ただの昆虫>にも見える動物だったんだ。
「グンタイ竜の女王やヒト蜘蛛やアラニーズがいるなら、なるほど昆虫ベースのが他にもいてもおかしくないよな」
「そうね。むしろこれまでグンタイ竜の女王やヒト蜘蛛やビアンカ以外の例がなかったのが不思議なくらい」
そういうことだ。グンタイ竜の女王や最初のヒト蜘蛛やビアンカのように昆虫と哺乳類を掛け合わせたかのような生き物が存在するのなら、同様のそれがいても何も不思議じゃない。おそらく今回の奴が、その一つなんだろう。
昆虫は普通、あまり体が大きくなると、その構造上、動くことができなくなるらしい。小さいからこそ効率よく自らを維持し活動がしやすい仕組みを持っているそうだ。
だからグンタイ竜の女王やヒト蜘蛛もアラニーズも、ただ昆虫としての構造ではなく、内骨格を持ち循環系を持ち、同時に外骨格でも体を支えることで強靭な肉体を得ているんだ。なので当然、今回の奴も同じだろう。実際、猪竜を目の前にして怯むことなく襲い掛かった。
「早い!?」
思わず声に出してしまう。と言うか、カメラが一瞬、追いつけなかった。ヒト蜘蛛やビアンカに勝るとも劣らない動きだ。むしろ小さい分だけ素早いかもしれない。
猪竜も、決して鈍重な獣じゃない。見た目にはブタのようでも、そもそもブタだって、食肉用の家畜としてわざと太らされているから筋力に比べて体重が多すぎるだけで、元々は鈍いわけでもない。
実際、この時の猪竜も、反応はしてみせた。反応して躱そうとしたんだ。なのに、<昆虫型の獣>の脚の先がそれこそ鉤爪状になっていたことで、しかもかなり前足が長くリーチが大きかったことで、躱しきれず、捕らえられてしまった。
しまったが、猪竜だって別に<やられ役のザコ>じゃない。それぞれ己の命を懸命に生きている、
<その命の主役>
なんだよ。だから生き延びるために、自身の肉に食い込んだ鉤爪を、己の身が裂けることも厭わずに引きはがしたのだった。
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