上 下
1,560 / 2,554
第四世代

玲編 チップ

しおりを挟む
龍準りゅうじゅんにチップを付けてくれ』

俺の言葉に、エレクシアは、

「承知しました」

躊躇うことなく応えてくれる。彼女にしてみればそれこそ<朝飯前>だしな。今はイレーネもいるから彼女に俺の警護も任せられるし。

「では、行ってまいります」

マンティアンの<天然の装甲>には、拳銃タイプの射出機ではまったく通用しないので、シリンジタイプの注入器を用意して、エレクシアは森へと入っていった。これさえ、メイトギアの力でないと刺さらないが。

ところで、俺の警護を任せることについて、イレーネに対しては通信でやり取りするなら言葉では会話をする必要もない。ただそれだと、人間の目にはちゃんとやり取りしたのかが分かりにくいから、わざわざ<会話>をすることもある。この時も、

「それでは、マスターの警護をお願いします」

「承知いたしました」

と簡潔ながらもそうやってやり取りしてくれた。と同時に、通信でもっと詳しいやり取りもしてるけどな。

なんにせよ、エレクシアに任せておけば大丈夫だろう。

と、思いたいところだが、牙斬がざんの時にはそう考えててエレクシアは左手を失ったんだ。だから油断はしちゃいけない。まあ、エレクシア自身は油断なんかしないが。牙斬がざんの時はあくまで情報不足だっただけで。

さりとて、情報不足は龍準りゅうじゅんも同じか。

いずれにせよ、万が一の事態も考えてきゅう号機と拾弐じゅうに号機にも龍準りゅうじゅんを追わせる。いざとなれば三対一でやらせてもらう。

なのに、

「ドローンが龍準りゅうじゅんを見失いました。こちらからも所在が確認できません」

エレクシアが報告してくる。

「くそ……っ! ダメか……」

彼女のセンサーの範囲内に入ればいくらマンティアンが気配を殺そうが隠れられない。しかし、それはあくまで、彼女のセンサーの実用有効半径である十メートル前後くらいでの話。そもそもそこまで近付けないといくらエレクシアでも発見できない。

やれやれ、無駄足だったか。

とは言え、移動すればドローンやマイクロドローンのセンサーでも捉えられるだろうから、その時にということで。

「仕方ない。今回は戻ってくれ」

俺はエレクシアにそう命じ、

「承知しました。マスター」

彼女もためらうことなく応じて、引き返してくれる。人間なら文句の一つも言いたいところだろうが、ロボットである彼女はそんなことも気にしない。

そんなわけできゅう号機と拾弐じゅうに号機を、ロストした辺りに派遣。警戒に当たらせる。

次に見付かった時には早々にエレクシアを派遣してチップを付けてもらおう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

処理中です...