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第四世代
玲編 子に教わる
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新暦〇〇三五年八月九日
そうやって明が衰えていく一方で、玲と鋭は大変に元気だ。
いろんな意味で。
また、ビクキアテグ村では、ケイン達も元気にやっている。特にイザベラとキャサリンは、<土竜狩り>に夢中だ。どうやって思い付いたか、地面に伏せて地中を移動する土竜の気配を感じ取り、地上に空いた穴から出てきたところをガッと捕まえるんだ。
ビアンカもそうだが、アラニーズやヒト蜘蛛の本体には、全身に細かい毛が生えている。これは本来、巨体ゆえにどうしても死角が多くなることを補うために空気の動きを感知して周囲を認識するという機能だったはずなんだが、イザベラとキャサリンは、腹に生えてる毛を地面に当てることで地中の振動も感知、土竜の動きを掴んだようだな。
これについてビアンカは、
「まさかこんなことができるとは、自分でも気付きませんでした……!」
我が子に自身の能力について改めて教えられて、驚いていた。実際にイザベラやキャサリンの真似をして本体側の服を脱いで同じようにしてみると、確かに地中の様子まで感じ取れたそうだ。
これまで、アラニーズである自分の体を心のどこかでは醜いものとして感じていてなるべく隠そうとして<服>を着ていた彼女が、自分で自分の能力を制限していたことを自覚してしまったようだな。
服から出ている脚の部分だけでもかなりのことが察知できていたから気にしていなかったものの、服を脱いだ上で意識をそちらに向けると、とんでもなく世界が違って見えたという。
「すごい…! すごいです……! 今まで汚れたサングラスをかけていたみたいな気分です! 世界がクリアに見える……!」
アラニーズとしての自分を受け入れた彼女だったが、それでもまだ完全には受け入れられてなかったんだろう。それは無理もないと思う。地球人とはあまりにも違い過ぎるその体を何の偏見もなく受け入れろというのがそもそも困難な話だったはずだ。
ましてや自分自身だからな。
さすがに地球人そっくりの体の方は晒すのは無理でも、アラニーズとしての本体の方は、それほど気にならなくなったようだ。なんと言うか、
『脚が太いのを気にして隠していたのが、気にならなくなって、出すようになった感じ』
だとも。
こうしてビアンカは、アラニーズの本体の方には服を着なくなった。
こういう変化もあるということだな。
加えて、親と言えど、子に教わることもあるという話だ。そのイザベラとキャサリンは、
「ビアー!」
「アカー!」
「クルー!」
「ルコー!」
「ミラー!」
と、それぞれの名前を呼び始めてたな。
そうやって明が衰えていく一方で、玲と鋭は大変に元気だ。
いろんな意味で。
また、ビクキアテグ村では、ケイン達も元気にやっている。特にイザベラとキャサリンは、<土竜狩り>に夢中だ。どうやって思い付いたか、地面に伏せて地中を移動する土竜の気配を感じ取り、地上に空いた穴から出てきたところをガッと捕まえるんだ。
ビアンカもそうだが、アラニーズやヒト蜘蛛の本体には、全身に細かい毛が生えている。これは本来、巨体ゆえにどうしても死角が多くなることを補うために空気の動きを感知して周囲を認識するという機能だったはずなんだが、イザベラとキャサリンは、腹に生えてる毛を地面に当てることで地中の振動も感知、土竜の動きを掴んだようだな。
これについてビアンカは、
「まさかこんなことができるとは、自分でも気付きませんでした……!」
我が子に自身の能力について改めて教えられて、驚いていた。実際にイザベラやキャサリンの真似をして本体側の服を脱いで同じようにしてみると、確かに地中の様子まで感じ取れたそうだ。
これまで、アラニーズである自分の体を心のどこかでは醜いものとして感じていてなるべく隠そうとして<服>を着ていた彼女が、自分で自分の能力を制限していたことを自覚してしまったようだな。
服から出ている脚の部分だけでもかなりのことが察知できていたから気にしていなかったものの、服を脱いだ上で意識をそちらに向けると、とんでもなく世界が違って見えたという。
「すごい…! すごいです……! 今まで汚れたサングラスをかけていたみたいな気分です! 世界がクリアに見える……!」
アラニーズとしての自分を受け入れた彼女だったが、それでもまだ完全には受け入れられてなかったんだろう。それは無理もないと思う。地球人とはあまりにも違い過ぎるその体を何の偏見もなく受け入れろというのがそもそも困難な話だったはずだ。
ましてや自分自身だからな。
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だとも。
こうしてビアンカは、アラニーズの本体の方には服を着なくなった。
こういう変化もあるということだな。
加えて、親と言えど、子に教わることもあるという話だ。そのイザベラとキャサリンは、
「ビアー!」
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「クルー!」
「ルコー!」
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と、それぞれの名前を呼び始めてたな。
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