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第三世代

灯編 折り合い方

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「怖かったね、ケイン。もう大丈夫だよ」

怯えるケインを、あかりが包み込むように抱き締めてくれる。普通の地球人なら生理的嫌悪感を抱くこともあるだろうケインの姿も、あかりにとっては何の問題もない。

ケインも、縋るように身を委ねる。もうあかりのことはちゃんと<家族>ないし<仲間>だと認識してくれてるみたいだ。

なお、ドーベルマンMPMが捕らえたイタチ竜イタチはこのまま食肉処理される。残酷かもしれないが、生きるか死ぬかの世界で選択を誤った以上は、申し訳ないがあかり達の命を繋ぐ糧となってもらう。

もちろん、逆の場合にも容赦してもらえないのは覚悟の上だ。

だからこそ『守る』。その<逆の事例>を招かないようにな。

『外敵と戦う』

ことは確かに重要だが、

『必要もないのにこちらから攻撃を仕掛けて危険を呼び込むようなことをしない』

というのも重要なんだ。これも分かってもらわないといけない。

縄張りを隣接してるレオンやオオカミ竜オオカミの群れとは、お互いに不干渉を貫くという形で均衡が保たれてる。ビクキアテグ村に手を出せば確実に痛い目を見るのが分かってる上に、ドーベルマンMPMが管理する<畑>が草食動物の餌場にもなってて繁殖してくれることで十分な獲物がそちらで確保できるから、ビクキアテグ村には危険を冒してまで干渉してこないんだ。

中には、素戔嗚すさのおのように身の程をわきまえない個体もたまにいるものの、先日現れた老オオカミ竜オオカミのような事例もあるものの、そういう場合も個別に力の差を思い知ってもらってもらうことになる。そして時には、こちらの命を繋ぐ糧になってもらうこともある。

イタチ竜イタチも本来ならわざわざ仕掛けてくる必要もないはずなんだが、残念ながらイタチ竜イタチにはオオカミ竜オオカミほどの知能はないようで、十分には理解してくれないんだよな。

で、今回のようなことが起こると。

敢えて村にはこない個体も少なくないが、無謀にも侵攻してくる個体も多い。

その辺りが<イタチ竜イタチとの折り合い方>だな。

『こちらからは攻め込まないが攻め込んでくる場合には容赦しない』

という辺りが。

ケイン達にもそれについては理解してもらわないといけないだろうな。それが理解できるかどうかが、ビクキアテグ村で生きていけるかどうかの分かれ目か。

村の基本的な姿勢を理解できない場合には、出て行ってもらうことになるだろう。

ケインは性格的に大丈夫としても、イザベラとキャサリンはどうだろうか。人間としての知能はあっても、例えば、

『強い相手と戦いに行きたい!』

的な考え方をするようなら、無理に引き留めることもしないだろうな。

ヒト蜘蛛アラクネには雄雌で明確な力の差がない。むしろやや雌の方が強いくらいだし。

ばんが例外的だったんだよ。

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