1,511 / 2,557
第三世代
灯編 不合理
しおりを挟む
となると、ケイン達にもそれを分かってもらわないといけないわけで、手探りではありつつ時間をかけてゆっくりと伝えていくさ。
こちらの思い通りにならないからといって怒鳴らない。手を上げない。それによって、
『自分の思い通りにならないからといって、気に入らないからといって、相手を怒鳴らない。手を上げない』
ってのを学んでいってもらうわけだ。
『自分の思い通りにならないから、気に入らないから、怒鳴る手を上げる』
なんてのを学び取らせて、それから、
『<正義>や<道徳>なんてものを押し付ける形で学ばせて先に学んだことを力尽くで否定する』
とか、不合理に過ぎるだろう?
確かに、乳幼児の頃には自分の感情を巧く制御できずに喚き散らしたり誰かを叩いたり物に当たったりということはある。でもな、だからと言って親や大人が、怒鳴ったり叩いたりって振る舞いをするというのは、子供に、
『そうか。気に入らないことがあれば怒鳴ったり叩いたりしていいんだ』
と、『喚き散らしたり誰かを叩いたり物に当たったり』する行為をむしろ肯定することになるんだってのも分かってるんだ。なるほど、親や大人に怒鳴られたり叩かれたりすればその場は収まるかもしれない。だがそれは、
『怒鳴られたり叩かれたりするからいい子のふりをしておこう』
って<悪知恵>を身に付けさせるだけだってのも判明してるんだよ。だから、歳をとって自分より目上が少なくなって怒鳴られたり叩かれたりする可能性が減ると傍若無人に振る舞うようになる傾向が高まるってのも判明してる。
そうじゃなくて、最初から、『自分の思い通りにならないからといって、気に入らないからといって、相手を怒鳴らない。手を上げない』と学んでもらった方が確実なんだ。
しかも、たとえそう学んでもらったところで、生物の本能として、
<理不尽な外敵に対する攻撃性>
そのものは消えてしまうことはないのも分かってる。特に、
『自分にとって大切なものを守りたい』
という欲求は消えてなくならないそうだ。元々の性格で攻撃衝動が低かったりすると、なるほど本当に臆病な性格になってしまうことはあるそうだが、別に、全員が警官や軍人になるわけじゃないからな。それは大きな問題にはならない。
それに、
『面倒なことは他人任せにして自分は何もしない』
なんて人間は、いつの時代にもいたじゃないか。つまりそういうことだよ。そんなに気にするほどのことじゃないそうだ。
それに朋群人は地球人よりもずっと野生に近い。生まれてからずっと人間に育てられてきた<獣>でさえ何かのはずみで人間を襲うこともあるように、<野性>ってのはそう簡単に消えてなくならないさ。
灯がまさにその手本になると思う。俺は彼女に暴力で問題を解決する方法が是であるとは教えてこなかった。けれど彼女は、
<獰猛なアクシーズとしての本能>
は失ってはいないしな。
こちらの思い通りにならないからといって怒鳴らない。手を上げない。それによって、
『自分の思い通りにならないからといって、気に入らないからといって、相手を怒鳴らない。手を上げない』
ってのを学んでいってもらうわけだ。
『自分の思い通りにならないから、気に入らないから、怒鳴る手を上げる』
なんてのを学び取らせて、それから、
『<正義>や<道徳>なんてものを押し付ける形で学ばせて先に学んだことを力尽くで否定する』
とか、不合理に過ぎるだろう?
確かに、乳幼児の頃には自分の感情を巧く制御できずに喚き散らしたり誰かを叩いたり物に当たったりということはある。でもな、だからと言って親や大人が、怒鳴ったり叩いたりって振る舞いをするというのは、子供に、
『そうか。気に入らないことがあれば怒鳴ったり叩いたりしていいんだ』
と、『喚き散らしたり誰かを叩いたり物に当たったり』する行為をむしろ肯定することになるんだってのも分かってるんだ。なるほど、親や大人に怒鳴られたり叩かれたりすればその場は収まるかもしれない。だがそれは、
『怒鳴られたり叩かれたりするからいい子のふりをしておこう』
って<悪知恵>を身に付けさせるだけだってのも判明してるんだよ。だから、歳をとって自分より目上が少なくなって怒鳴られたり叩かれたりする可能性が減ると傍若無人に振る舞うようになる傾向が高まるってのも判明してる。
そうじゃなくて、最初から、『自分の思い通りにならないからといって、気に入らないからといって、相手を怒鳴らない。手を上げない』と学んでもらった方が確実なんだ。
しかも、たとえそう学んでもらったところで、生物の本能として、
<理不尽な外敵に対する攻撃性>
そのものは消えてしまうことはないのも分かってる。特に、
『自分にとって大切なものを守りたい』
という欲求は消えてなくならないそうだ。元々の性格で攻撃衝動が低かったりすると、なるほど本当に臆病な性格になってしまうことはあるそうだが、別に、全員が警官や軍人になるわけじゃないからな。それは大きな問題にはならない。
それに、
『面倒なことは他人任せにして自分は何もしない』
なんて人間は、いつの時代にもいたじゃないか。つまりそういうことだよ。そんなに気にするほどのことじゃないそうだ。
それに朋群人は地球人よりもずっと野生に近い。生まれてからずっと人間に育てられてきた<獣>でさえ何かのはずみで人間を襲うこともあるように、<野性>ってのはそう簡単に消えてなくならないさ。
灯がまさにその手本になると思う。俺は彼女に暴力で問題を解決する方法が是であるとは教えてこなかった。けれど彼女は、
<獰猛なアクシーズとしての本能>
は失ってはいないしな。
0
お気に入りに追加
175
あなたにおすすめの小説
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する
あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。
俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて
まるでない、凡愚で普通の人種だった。
そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。
だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が
勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。
自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の
関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に
衝撃な展開が舞い込んできた。
そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。
※小説家になろう様にも掲載しています。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
悲しいことがあった。そんなときに3年間続いていた彼女を寝取られた。僕はもう何を信じたらいいのか分からなくなってしまいそうだ。
ねんごろ
恋愛
大学生の主人公の両親と兄弟が交通事故で亡くなった。電話で死を知らされても、主人公には実感がわかない。3日が過ぎ、やっと現実を受け入れ始める。家族の追悼や手続きに追われる中で、日常生活にも少しずつ戻っていく。大切な家族を失った主人公は、今までの大学生活を後悔し、人生の有限性と無常性を自覚するようになる。そんな折、久しぶりに連絡をとった恋人の部屋を心配して訪ねてみると、そこには予期せぬ光景が待っていた。家族の死に直面し、人生の意味を問い直す青年の姿が描かれる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる