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第三世代

灯編 好ましくないことという認識

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未来みらいが自分より強い者を相手にこうして衝動をぶつけていくのは、ビアンカやハートマンやグレイがしっかりと相手をしてくれていたからだ。だから発散もできる。

自分より弱い相手をいたぶっても、発散しきる前に相手が音を上げるから、発散しきれなかった分は、痛め付けられた相手の様子に優越感を覚えることで贖う。

地球人にはそういう心理があることも判明している。だからここではそういうのが根付かないようにする。

しかし同時に、生きるためには戦わないといけないから、たとえ子供であってもそういう<攻撃性>はほとんどの場合持っている。その攻撃性が<当人よりも弱い相手>に向かないように、徹底的に大人が相手をする。その上で、弱い相手に攻撃性を向けた場合には<罰>があるようにする。

そうすることで、

『自分より弱い相手を思うままにいたぶることに悦楽を覚える』

ようになることも抑制する。完全に防ぐことはまあ無理だろうが、

<好ましくないことという認識>

を持たせることには繋がるさ。

そもそも、自分より弱い相手を蹂躙するだけで成長できるなら、誰も苦労はしない。アスリートでも、自分よりレベルの低いのしかいない場所で<お山の大将>になってて伸びると思うか? 自分と同等以上の相手と競い合い経験を積むからこそ成長するんじゃないのか?

弱い相手にイキがってるだけの奴を尊敬できるか? もしできるならどうしてそんな価値観を持つに至った? 自分の人生を客観的に振り返ってみることだ。

『自分より弱い相手を一方的に痛めつけるのが楽しい』

なるほど、子供のうちはそういうのもあるかもしれない。自分より非力な虫や小動物を一方的に蹂躙して遊ぶということをする時期もあるだろう。だが、大人になってからもそれというのは恥ずかしくないか? 子供がやってることそのままなんだぞ? 子供と同じなんだぞ? それをドヤるというのはどうなんだ?

フィクションで悪役がそういう振る舞いをすることも確かにある。しかしそれは後でその悪役をぶちのめすことでカタルシスを得るための<味付け>じゃないのか? そこに共感するということは、<正義>を掲げる奴らの引き立て役に共感するということだぞ? 

いいのか? それで?

まあもっとも、現実世界では、

<正義を掲げる奴ら>

<正義を声高に口にする奴ら>

ってのはたいていロクでもない奴らだからな。そういうのに反発して<悪の論理>に共感してしまうことも確かにあるだろう。けれどそれも、いわゆる<中二病>ってヤツじゃないのか? いい歳をしてそれというのは、やっぱり恥ずかしくないか?

<正義>も<悪>も、所詮は立場の違いでしかない。だが、

『理不尽に他者を攻撃する行いが不幸を生む』

ってことくらいは分かるだろう? 親の責任として子供にそれを教えるのは当然だと思うんだがな。

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