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第三世代

灯編 フィクションのキャラクター

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<子供の人間性を掴む作業>

育児というものを論理的に説明するならそういうことになると俺は実感した。自分の子供がどういう人間であるかを掴み、その上で適切な対処を模索することだというのをな。

<仕事>でもそうだろう? 顧客がどのような存在で、何を望んで、どのように対処すれば最も好ましい結果が得られるかをひたすら考えるというのが仕事の本質じゃなかったか?

それを、何も考えずその場の思い付きで自分の感情ばかりを優先して場当たり的に対処してて、上手くいくか? 

子供は<人間>だ。人間相手の作業なんだ。だったら、自分の、大人の側の勝手な都合ばかり押し付けていて上手くいくわけないだろう? 企業側の都合ばかりを顧客に押し付けてて、それで上手くいくと本気で思うのか?

企業が相手にしている<顧客>も人間。親が相手にしてる<子供>も人間だ。その当たり前の事実から目を背けてて、何ができる?

作者の都合でどうにでもできる<フィクションのキャラクター>じゃないんだぞ? 実在の人間を一から十まで自分の思い通りにできるとか、ただの<空想>だ。

自分自身に置き換えてみれば分かるじゃないか。他者の勝手な都合に百パーセント自分を合わせていけるのか? それで納得できるのか?

地球人は、赤ん坊の時点から親をはじめとした<身勝手な他者>の理不尽の振る舞いに曝される。だからそれに倣って子供も<理不尽な人間>に育っていく。

こんな分かりやすくて当たり前の理屈、なんで理解できない?

などと嘆いていたってその事実から目を背けたいのが大半だった地球人の社会でそれを説いても、反発を招くだけだ。

『自分こそが最も優遇されたい。自分こそが世界の中心でありたい。自分こそが正しいと思いたい』

って人間が多いという現実の前じゃ、そりゃ簡単にはいかないさ。

だからこそここでは、

『人間の子供は人間だ』

ってのを大前提にしていきたい。結果として人間としては生きられない場合があったとしても、それは<個々の事例>でしかなく、全体を表すものじゃないってのを、ちゃんとわきまえたい。

一部の事例だけを取り上げて、

『だから子供は人間じゃない』

などという、いわゆる<確証バイアス>に取り憑かれることを意識的に避けていかなきゃいけないと思う。

しかしそれは同時に、

『ビアンカの子供なんだから必ずビアンカと同じように人間として生きてくれる』

という考えに取り憑かれることも避ける必要があるんだけどな。

どちらに転ぶかは、ケイン達それぞれをちゃんと見て判断しなきゃいけないってことだ。

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