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第三世代

灯編 子供の人間性を掴むための作業

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さて、<育児>はこれからが本番だ。保育器に入れてのそれは、言葉は悪いがただの、

<飼育>

でしかなかった。しかしこれからは文字通り、

『人間を育てていく』

ことになる。その心構えは必要だ。

『人間は人間しか生まない』

『人間じゃないものを生んだのであれば、それは親自身が<人間じゃない何か>だということだ』

正直、それが朋群ほうむ人の間でも通用するかどうかは分からない。パパニアンであるひそかが生んだひかりは<人間>として育ち、しかしほまれほむらあらたは<パパニアン>として育った。

だから地球人の常識がそのまま通用するとは思わないが、大前提として、

『ケインもイザベラもキャサリンもビアンカの子である事実は揺るがない』

という現実と向き合い、俺達は三人と接していく。

それに、三人とも、少なくとも腹が満たされてさえいれば今の時点でもそれほど凶暴な様子も見せず、セシリアにも襲い掛からず、穏やかな様子を保ってくれていた。

これは、ヒト蜘蛛アラクネも同じ。凶暴なヒト蜘蛛アラクネではあるものの、別に常に生き物を見掛けるだけで殺戮を行うような存在じゃないことは、明らかなんだ。ばんでさえ、

『危険を感じる』

『空腹である』

という状況以外では、穏やかなものだった。地球の<猛獣>と呼ばれる生き物でも、同じだったはずだ。周囲に対して常時攻撃的というわけじゃない。動物園で飼育されているような猛獣ならそれこそ、日がな一日ぐうたらしてたりしたじゃないか。

外敵がおらず餌も十分に与えられていると、後は何らかの危険を察知するかでもしない限りは怠惰ですらある。

イザベラとキャサリンもそれと同じだ。<穏やかでいられる状況>を探り出し、その状況を維持できるなら、敵対行動を取る可能性は確実に減る。

当たり前の話なんだよ。

まあもちろん、だからこそ<穏やかでいられる状況>からわずかでも外れれば危険度は天井知らずに跳ね上がるけどな。

そしてメイトギアであるセシリアは、バイタルサインの時点でそれを的確に捉え、データとして蓄積していってくれる。メイトギアは、そのためのロボットでもある。

人間だって、どんなに粗暴な奴でも常時攻撃的なわけじゃない。<攻撃的になるスイッチ>というものは誰にでもあって、それが多いか少ないか、スイッチが過敏か鈍感かの違いしかない。

そういうことだ。

ケイン達と俺達とが上手く折り合っていける部分を探り出す。

<育児>ってのは、そういう作業でもある気がする。

『子供の人間性を掴む』

ための作業でもな。

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