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第三世代
灯編 未知の生命体との接近遭遇
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それでも、ケインもイザベラもキャサリンも、まぎれもなく<ビアンカの子>だ。その事実は揺るがない。
だからビアンカは、敢えて危険を冒してでも、自分の存在を認識してもらうために育児室へと入っていく。正直、ずっと傍にいるのはセシリアなので、ケイン達はセシリアを<母親>と認識するかもしれない。けれど、それは仕方ないとして割り切る。重要なのは、ビアンカの顔を覚えてもらうことだ。そして、少なくとも<仲間>と認識してもらう。
そこから少しずつ、認識を広げていってもらう。段階を踏んで、次は久利生、さらに灯、そしてルコア、未来、黎明の順に。
非常に面倒ではあるものの、その手間を惜しめば、後々無用なトラブルを生む可能性がある。
この点でも、ビアンカも久利生も、
<未知の生命体との接近遭遇>
を想定した訓練も受けてきているし、灯に至っては、生まれてからずっと多種多様な生き物達と触れてきて、それらすべてに一律で同じような接し方が通用しないことは皮膚感覚で学んできてくれている。だから何も心配してない。
で、まずはビアンカがケイン達と接する。
「ケイン、イザベラ、キャサリン。私があなた達のママです。改めてよろしくね♡」
これまでの保育器越しのそれじゃない、お互いに直接に顔を合わしての挨拶だったが、まだ赤ん坊同然であるケイン達には何も伝わらなかったようだ。
でも、用心のための<防刃手袋>を着けた手で、三人にそれぞれ生肉を与えると、三人とも受け取ってはくれた。
特にケインは、少し腹に余裕が出てきたのか、少しずつ生肉を齧ってくれる。ここまで保育器越しとはいえ顔を合わせていたのが功を奏したのかもしれない。
イザベラもキャサリンも、それぞれ食べてはくれる。ビアンカに襲い掛かったりはせずに。
三人の表情も、地球人の赤ん坊として見れば必ずしも可愛げがある感じではないものの、かと言って歯を剥き出して威嚇してくるわけでもないから、それで良しとしよう。
こうして直接の面会を果たして育児室から出てきたビアンカを、黎明を抱いた久利生と灯と未来を抱いたルコアが出迎えてくれる。
「どうやら嫌われてはないみたいです」
緊張から解放されたホッとした感じの笑顔で黎明を受け取りながらビアンカが言うと、久利生がそっと抱き締めながら、
「お疲れ様」
と労わってくれた。それがあるからビアンカは安心できるんだ。さらに、
「ケインもイザベラもキャサリンもいい子だよね♡」
ニシシ♡という感じで笑いながら灯が言って、
「可愛いって私も思える」
ルコアも言ってくれたのだった。
だからビアンカは、敢えて危険を冒してでも、自分の存在を認識してもらうために育児室へと入っていく。正直、ずっと傍にいるのはセシリアなので、ケイン達はセシリアを<母親>と認識するかもしれない。けれど、それは仕方ないとして割り切る。重要なのは、ビアンカの顔を覚えてもらうことだ。そして、少なくとも<仲間>と認識してもらう。
そこから少しずつ、認識を広げていってもらう。段階を踏んで、次は久利生、さらに灯、そしてルコア、未来、黎明の順に。
非常に面倒ではあるものの、その手間を惜しめば、後々無用なトラブルを生む可能性がある。
この点でも、ビアンカも久利生も、
<未知の生命体との接近遭遇>
を想定した訓練も受けてきているし、灯に至っては、生まれてからずっと多種多様な生き物達と触れてきて、それらすべてに一律で同じような接し方が通用しないことは皮膚感覚で学んできてくれている。だから何も心配してない。
で、まずはビアンカがケイン達と接する。
「ケイン、イザベラ、キャサリン。私があなた達のママです。改めてよろしくね♡」
これまでの保育器越しのそれじゃない、お互いに直接に顔を合わしての挨拶だったが、まだ赤ん坊同然であるケイン達には何も伝わらなかったようだ。
でも、用心のための<防刃手袋>を着けた手で、三人にそれぞれ生肉を与えると、三人とも受け取ってはくれた。
特にケインは、少し腹に余裕が出てきたのか、少しずつ生肉を齧ってくれる。ここまで保育器越しとはいえ顔を合わせていたのが功を奏したのかもしれない。
イザベラもキャサリンも、それぞれ食べてはくれる。ビアンカに襲い掛かったりはせずに。
三人の表情も、地球人の赤ん坊として見れば必ずしも可愛げがある感じではないものの、かと言って歯を剥き出して威嚇してくるわけでもないから、それで良しとしよう。
こうして直接の面会を果たして育児室から出てきたビアンカを、黎明を抱いた久利生と灯と未来を抱いたルコアが出迎えてくれる。
「どうやら嫌われてはないみたいです」
緊張から解放されたホッとした感じの笑顔で黎明を受け取りながらビアンカが言うと、久利生がそっと抱き締めながら、
「お疲れ様」
と労わってくれた。それがあるからビアンカは安心できるんだ。さらに、
「ケインもイザベラもキャサリンもいい子だよね♡」
ニシシ♡という感じで笑いながら灯が言って、
「可愛いって私も思える」
ルコアも言ってくれたのだった。
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