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第三世代

灯編 尻拭い

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そうだ。ケイン達が、

『アラニーズとして生きられるか、ヒト蜘蛛アラクネとして生きるか』

は、別に重要な問題じゃない。大事なのは、自身の生を全うできるかどうかだ。

人間は、<人工妊娠中絶>という手段を得ることで、それこそ、

『子供が生まれてくるかどうかを親が勝手に決められる』

ようになった。親のエゴで、授かった子を殺すことができるようになったんだ。それはつまり、

『子供をこの世に繰り出したのは親の勝手』

という事実をより強固に際立たせることになった。なにしろ、望まないなら人工妊娠中絶を選べるようになったんだからな。にも拘わらず生んだ。この世に送り出した。これが、

<親の勝手>

でなくて何なんだ? なのに、親は、

『生んでやった』

『育ててやった』

と恩を売ろうとする。

正気か? 自分が勝手に子供をこの世に送り出しておいてその理屈が通じるとか、本気で思っているのか?

子供を育てるのだって、

<子供を勝手にこの世に送り出した親自身の尻拭い>

でしかないんだぞ? それ以外のなんだって言うんだ? ええ?

だから俺達は、

『自分が子供を勝手にこの世に送り出した』

『子供を育てるのは、自分自身の選択の尻拭いをしてるだけ』

という事実を受け止めているだけだ。ケイン達だって、ビアンカの体内にいた時点で殺すことだってできた。だが、俺達はそうしなかった。生まれてくることを望み、それを選択した。自分の選択に責任を負うのは、大人として当たり前のことじゃないのか?

それができない奴がどんなに偉そうな御託を並べてようが、そんなものはただの<戯言>としか思わないね。

とは言え、親だけに任せておいていいわけでもない。人間社会が成立するには子供が生まれてもらわないと話にならないんだから、そういう意味では<社会>そのものにも責任はある。親だけに責任を押し付けておいて、

『社会は、個々の親が育てた子供を人材として使えるメリットだけを享受する』

なんてムシのいい話は成立しない。なので、子供が生まれ育つことについてそれが可能な体制を整える責任が社会の側にもある。

そのために地球人類はロボットを進化させたんだ。親をサポートするためにな。

で、黎明れいあ未来みらいの安全を確保するためにも、当面の間は、セシリアがメインでケイン達の世話をすることになる。と同時に、ビアンカのことも認識してもらわないといけないから、食事を与える役目は、ビアンカにお願いすることになった。

また、狭い保育器の中に閉じ込めておくことになっている点についても、ヒト蜘蛛アラクネならある程度まで成長する間は母親の体内にいるという事実を鑑み、しばらくはこのままで様子を見る。

とにかく、当面の間はそれこそ手探りになるな。

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